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里親と里子。時間をかけて築いてきた絆。
それでもやってくる里子の反抗期。
「血がつながってないくせに!」
そんな一言を先輩里親のみなさんはどんな風に、どんな気持ちで乗り越えてこられたのでしょう。
里子の反抗期にやってくる決り文句!?小学校高学年から中学生ぐらいで言い放たれることが多いようです。
「血がつながっていないくせに」のほかに「本当の親じゃないくせに」なども里子から必ず言われるセリフとして挙げられます。
里子からの言葉に、里親である大人の私たちがどんな風に受け止めているかはとても重要なポイントですね。
先輩里親のみなさんの体験を聞いてみましょう。
4歳で我が家にやってきた里子A君の反抗期は中学1年生からはじまりました。
乱暴な言葉づかい、注意すると怒鳴る、無視する、物にあたる。いつもムスっとして気に入らない様子。なんて立派な反抗期!!(笑)
わたしは「それだけ絆が強い証拠かなー」と逆に嬉しく思っていました。
だけどある日、お友達を殴って学校から呼び出された帰り道「どんな理由があっても殴るのはよくない」と言ったことが気に入らなかったのか「俺の気持ちなんかわからんやろ。本当の親じゃないもんな。所詮は他人なんや」と言われて、膝から崩れ落ちました。
実子と変わらず、育ててきたのに。
思わず「わかってないのはあんたや!」って言い返しました。
今はネタとして笑ってます。
(里親Aさん談)
「血がつながっていてもわかりあえないこともある。当然です。血がつながってるからわかり合えるんだったらこんな世の中になってないでしょ。」
(里親Yさん談)
血がつながっている=家族という固定観念にとらわれている人はまだまだ多いのかもしれません。
でもよく考えたら、夫婦だって他人です。
みんな他人。「他人」というと冷たい印象をもたれるかもしれないですが、自分以外の人はみんな他人なのです。
「同じ家に暮らして、同じご飯を食べて、生活を共にしているんだから大丈夫。絆はつながってる」と大きく笑う里親さん。
先輩から「大丈夫」と言われると安心しますね!
里親に反抗的な態度をとったり、きつくあたる里子側にはどんな心の揺れがあるのでしょうか。
「友だちから「本当の子どもじゃないんでしょ?」と言われた」「近所の人から「あなたどこから来たの?本当のお母さんとお父さんは何してるの?って聞かれて困った」「学校で自分の赤ちゃんの時の写真を持ってくるように言われた」など、里子が自分の意図ではなく、自分の過去を振り返らずを得ないこともあります。
毎日の生活の中で、日頃から1日の様子を伝え合う時間を持つのは効果的かもしれませんね。前もって「こんなことを言われた里子ちゃんもいるみたいだよ」と伝えて「○○だったらなんて答える?」など家庭の中で先に話しておくこともできますね。
里子が「血が繋がっていないこと」「本当の親じゃない」という言葉を発するのにはどんな心の葛藤があるのでしょう。
社会の多くがそうであるように里子にも「血の繋がり=家族」という思い込みがあるのかもしれません。そして私たち自身はどうでしょう?
また、里子は自分の生い立ちを振り返る中で実親への思い、会いたい気持ち、様々な感情が湧きあがってきます。もしかしたら実親へ思いを馳せることの里親への申し訳なさ、周りと比べてなぜ自分だけ?という葛藤。そして、湧き出てきた感情を整理して言葉にすることも難しいかもしれません。
里子によって背景は様々ですが、生まれた場所、育ち、一時保護所、乳児院、児童養護施設、転校、転居、措置変更・・・子どもたちは大人の都合で環境を変えられ安心安全を感じることが少なく育っています。
ある里親さんは「社会的養護の子どもたちの文献を読み漁って子ども側のことを深く理解するよう努力した」といいます。
里親さんの生活もさまざまですから、どこまで可能かはさておき、子どもたちの世界に思いを馳せることで新たに見えてくるものもあるかもしれません。
どんな言葉や態度がきても私は冷静に対処します。
そんな人間はいないでしょう。里親であろうがなかろうが、愛するが故に、相手を思うが故に傷つくこともありますよね。
先輩里親さんのメンタル回復法をうかがってみました。
・里親サロンで愚痴を聞いてもらいます。「わかるー!」って言われると私だけじゃないんだなーとほっとします。
・思ったことは日記に書いています。ムカツクー!!!!!とだけ書いている日もあります(笑)頭から一旦出してしまうとスッキリしますね
・子どもたちが学校に言っている間に一人カラオケで大熱唱!
4歳で夫婦の元にやってきて今14歳のKちゃんとの家族の会話がとても感動的でした。
「家族はみんな血が繋がってないけど、私たちは絆で繋がってるね」という話をしていたのですが、去年「そろそろ血も繋がっているかもしれないね」って子どもが言ったんです。里親冥利に尽きる。血の繋がりがあるかもしれないと子どもが感じるほど、確かな愛情を子どもが感じているということが、人間の芯として支えになっていく。「この子は今こう感じてくれているんだな」と思うと、本当にやってよかったなと思います。
(里親Iさん談)
最後にご紹介した先輩里親さんに「生活の中で、これだけはと気をつけて来たことはありますか?」とお聞きしました。すると「子どもの話を聴くことです」と答えてくださいました。「どうしたいの?」「どう思った?」「どう感じたの?」大人側の意見を押し付けたり、大人のものさしで測らず子どもの心の声を出せるようにする。
「「血がつながってないくせに!」っていうのは正解。だってつながってないからね!」と大笑いしている先輩里親さんもいらっしゃいました。
出来事をどんな風に物事を捉えていくのか、どんな見方をするかも私たちが選べることですね。
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「周囲に里子だと知られたくないです」「実子は里子とどう接すればいいの」……。里子や実子など里親家庭で生活する皆さんは、特有の疑問や悩みを抱くものです。なかなか言い出しにくく答える側も答えにくいそうした悩みに、どう対応したらよいかを、Q&A形式で紹介するのが本書です。全46問のQそれぞれについて、里親さんと支援者の方へのアドバイスも掲載しています。里親家庭で子どもがどういう悩みを抱くのか、大人が把握するための資料としても貴重です。「自分だけが悩んでいるのではない」と、前向きになります。
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