虐待等を背景に実親に育てられない子ども達を、親の代わりに預かる養育里親を悩ます保証人問題をご存知でしょうか？

里親が直面する保証人問題とは、社会的養護が必要な子ども達が未成年で自立に向けての準備を行う際、賃貸契約に必要な保証人がおらずに、里親が保証人になることで借金を背負うケースが多発しているという問題です。

なぜ、こんな状況が起こるのか？その背景と福祉と日常の狭間で苦しむ里親たちの苦悩をまとめてみました。

社会的養護が必要な子どもは18歳を基準に自立を迫られる

虐待等で児童養護施設や里親の元で暮らす子ども達は、18歳までは衣食住の心配が必要ない環境で養育される事が保障されています。

しかし、18歳になると施設や里親の元を離れないといけない事が法律で定められているため、子ども達は、未成年の状態で自立準備を迫られることになります。

その際、子ども達は賃貸物件を探すことになりますが、未成年が賃貸物件を借りる場合、保証人がいなければ契約をすることができません。

本来なら、実親等が保証人になることが望ましいのですが、消息不明、虐待、借金等、様々な理由から実親が保証人になることはほとんどなく、保証人になってくれる適切な人がいないという状況になることが多いです。

社会的養護が必要な子どもの賃貸先がない

民間企業ではなく、公的な住居が用意されていれば良いのですが、国や自治体が社会的養護が必要な子どものために住居の支援等は特に行われていません。

ですので、社会的養護下で育つ子どもが自立し、新たな住居を得るために、保証人が必要となることは、ほぼ必然となります。

社会的養護が必要な子ども達の就業状況

里親が保証人になったとしても、子どもが自立に成功すれば大きな問題になりませんが、社会的養護を必要とする子どもが自立するには、あまりにも厳しい現状があります。

就職先が決まっていても、数ヶ月で辞めてしまうことも多く、ホームレスになるということもあります。

その結果、保証人である里親が借金を背負ってしまうという事が、実は日本で頻発しています。

里親が児童相談所等の公的機関に相談しても、代わりに保証人になってくれるわけでもないので、子どもを見捨てられない里親が、リスクを承知の上で保証人になっているのです。

最近は、コロナの影響もあり中高生で里親の元に養育される子ども達も増加していますが、養育歴が浅い子どもであっても、いきなり保証人になる必要性に迫られることもあるようです。

以上のように、社会的養護が必要な子ども達が自立するため、新たな仕組みが必要である事は自明ですが、実際は整備される気配がありません。

そもそも、社会的養護が必要な子ども達に割かれている予算は、国際的に比較しても最低限の水準に留まっていて、子ども達にとって必要で優先順位が高い支援が実現されていない中、里親保証人問題も長い間改善されていません。

もし、みなさんが里親の立場だったら、どうされますか？

借金を背負うリスクを避け、保証人にならずに、子どもを見捨てるような行為が出来るでしょうか？

こういった状況を見過ごしてしまっていることを国は恥ずべきことであり、里親の善意にあまりにも甘えすぎではないでしょうか？

日本で唯一ONELOVEオンライン里親会では、2021年2月に数名の議員さんと養育里親数十名が参加し、約2時間に渡ってオンラインミーティングで情報交換の機会が設けられ、里親保証人問題についての切実な声を届けられました。

「こんな機会は今までなかった」と参加した里親さん達は非常に好評で、早速参加してくださった議員さんからもツイッターでこの問題の発信をして下さっています。

ここ２日はほぼPCの前に張り付き状態で、勉強会へ参加したり、プレゼンをしたり、有識者の講演を聴いたり…
先程までは社会的養護の必要な子どもたちを一生懸命育てている里親さんたちとの意見交換会。
理路整然とした資料を読むことも大切ですが当事者の生の声をお聴きすることこそ大事にしたいです。 pic.twitter.com/brz8PcBwoJ

— 梅村みずほ 【ストップ！児童虐待】日本維新の会 参議院議員 (@mizuho_ishin) February 20, 2021

もし、このブログを拝見し、オンライン里親会に未登録の方がいらっしゃったら、無料で登録できるオンライン里親会にぜひご登録をお願いします。

現状を変えるため、読者の皆さんもぜひ、このブログをシェアしてもらえたら嬉しいです。