～里親支援専門相談員のお仕事～

大阪乳児院里親支援機関おむすびです。コラム企画をご覧いただきありがとうございます。
第3回目は「里親支援」についてご紹介させていただきます。

交流期間は、児童の年齢や交流状況によってまちまちですが、2か月から3か月くらいを目安としています。交流開始後は子どもに負担のない形で、里親さんの思いを受けとめながら担当職員と相談の上、支援計画を立てています。
同時期に複数の面会交流が重なることも多く、部屋の確保や環境設定など居室職員との事前調整は必ず行います。

愛着の対象がすこしずつ里親さんに移行できるように、子どもの気持ちに寄り添いながら、橋渡しの体制を整えます。里親さんが子どもにとって「特定の特別な人」と認識され、関係性が深まるころに外出、外泊へと交流の場を家庭に移行します。

長期外泊中は、里親子が生活のペースに慣れること、生活の場がかわることにより見えてくる子どもの変化を見守り、里親家庭の一員として本格的に生活をスタートさせるまでの準備期間です。

施設内では気にならなかった子どもの一面も生活の場所が家庭に移行したことで里親さんが不安や疑問に感じることも出てきます。
里親さんからのSOSにすぐにお応え出来るようにメール、LINE、電話などの連絡方法もお知らせし、チームとして支える体制を整えていることをお伝えしています。

里親家庭に委託後は、月に1回ほどのペースで家庭訪問を行っています。そのほとんどは乳児院から送り出した特別養子縁組里親と養育里親家庭で、里親家庭のお住まいは大阪府内の広域にわたります。

養子縁組里親家庭では、日々のお世話の様子など世間話を交えながらお話を伺います。生活面全般から発達面、情緒面など「はじめての子育て」をされる養親さんの心配ごとは子どもの月齢（発達）にあった養育ができているのかという内容がほとんどです。
子どもの成長発達の確認をしながら、その時期にあった子育て情報を提供し、時には養親さんと一緒に子どものお世話をしながら養育支援を行います。

養育里親家庭では、里親家族の一員として生活している子どもの日常についてお話を伺います。委託直後は里親家庭に慣れてきたやんちゃエピソードをお聞きしたり、子どもと直接触れ合い、里子の成長を確認する一方で、実子も含め複数人の子どもを養育している里親家庭では、それぞれの子どもたちの様子や変化についても確認しています。
ご家族全員がいらっしゃる日程で訪問し、なかなかお会いできないご家族からもお話を伺うこともあります。

日常から見えてくる里親子の関係性や、里親やその家族が気付かないうちに抱えている子育ての不安やストレスなどにいち早く気づき、子ども家庭センターと連携し必要な支援（レスパイトなど）を提供することが大切だと思っています。

今年はコロナ禍で家庭訪問を自粛していた時期もありますが、電話で様子伺いするだけではなく、「おうち時間」に活用していただける、シール貼りやぬりえ、フエルトで作ったボタンはめや手遊びで使える指人形など、室内遊びグッズを里親家庭に郵送し、ＳＮＳを活用して遊び方を紹介しました。

また里親家庭からはLINEやメールを利用し、写真や動画で子どもの近況をお知らせいただいたり、ＳＮＳで紹介した手作りおもちゃを参考に、「作ってみました～」とご報告をいただいたりと、訪問を自粛し「三密」を防ぎながらも新たなかたちで「密」な交流ができたように思っています。

※大阪府では養育里親を「はぐくみホーム」の愛称で呼んでいます。

最終回はおむすびの取り組み「里親支援のこれから」についてをお届けします。