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皆さん、はじめまして、佐賀県総合福祉センター(佐賀県中央児童相談所)で里親担当をしている平野と申します。
今回、コラム掲載のお話があり驚きましたが、少しでも皆様のお役に立てればと思い、佐賀県の状況についてご紹介させていただきます。
よろしくお願いします。
佐賀県は、県北部(唐津市)と県中央(佐賀市)の2ヶ所に児童相談所が設置されており、里親支援業務は主に県中央の方で担っています。
また、児童養護施設6ヶ所、乳児院1ヶ所、児童自立支援施設1ヶ所、児童心理治療施設1ヶ所設置されています。
このうち、里親支援業務は県中央児童相談所(5名:正職員1名+非常勤職員4名)と里親支援専門相談員(6名:乳児院1名+児童養護施設5名)が密に連携しながら実施しています。
これまでも体制の規模は違えども、主として児童相談所と里親支援専門相談員とが連携して、里親支援(特に普及啓発と委託里親への訪問支援)に力を入れてきました。
また、平成28年の児童福祉法の改正に伴い児童相談所では里親支援専属の班をつくり、普及啓発事業を民間団体に委託するなど積極的に体制を構築してきました。
平成29年8月に国において「新しい社会的養育ビジョン」が示されたこと、地域の実情に応じたフォスタリング体制が求められたことなど、ますます家庭養育の重要性が高まる中、佐賀県では、どのような体制が里親さんにとって最も養育しやすい環境だろうか、どうしたら包括的な支援ができるか、などいろんな人に意見を聞いたりしながら検討してきました。
そうした中、これまでの活動の中で里親支援専門相談員と良好に連携がとれていること、児童養護施設が県内に適度に点在していること(北部、中部、西部、東部)という強みを活かし、現在その体制づくりに奮闘しているところです。
① 県内での取り組みを統一した方が望ましい普及啓発・リクルート事業や研修・トレーニング事業は一本化して民間団体へ委託
② 地域密着が必要な訪問支援事業は県内を複数ブロックに分割して民間団体へ委託
③ マッチングについては、子どもが入所している施設へ委託
④ ①が②をコーディネート
⑤ 里親支援専門相談員は、①~③と連携
⑥ 里親会は、必要に応じて①及び②と連携
⑦ ①~⑥を児童相談所がコーディネート
これにより、②が、地域の里親への直接的な支援のほか、里親同士のネットワークを支援したり、未委託里親への支援、①との連携(例:トレーニングの受講勧奨、里親候補者のつなぎ)することができ、①が、普及啓発・リクルート、研修・トレーニングにより里親の情報を②と共有するなどが期待できます。
現在の状況は、①のみ達成し、②から⑥は関係機関と連携しながら主として児童相談所が実施しているところですが、段階的に進めていきたいと考えています。
これまでの里親支援の中で、次のような課題が生じています。
① いろんなタイプの養育里親(例:きょうだい児、障害児、高学齢児の受入)の発掘
② 児童相談所による里親アセスメントの徹底
③ 児童相談所による(成長に伴う)子どもの(継続的な)アセスメントの徹底(里親委託した子ども)
④ 家庭養育での適応の可否の精査
⑤ 里親自身の養育スキルの向上
⑥ 里親による子どものアセスメント
⑦ 里親間のネットワーク構築
⑧ 支援者による里親養育の支援スキルの向上
様々な課題に対して、現状としては次のような対応を実施しています。
① 普及啓発・リクルート事業を委託し、フォスタリング機関だけでなく、里親支援専門相談員や県里親会等と連携して、継続して普及啓発活動を実施している。
② 訪問支援や未委託訪問を通して、支援者が里親に興味を持って里親のことを教えてもらう姿勢で応対している(例:子どもとの関わりの癖、強みや弱み、怒りのポイント)。
③ 児童相談所(児童福祉司又は児童心理司)が、少なくとも半年に1回は子どもと単独面談している。また、子どもの年齢に応じて、随時、心理判定や生教育プログラム、行動診断などを行い、継続的に再アセスメントを行うよう努めている(例:子どもとの関わり方)。
④ 施設入所中の児童については、家庭養育の適否の判断が児童相談所と施設職員との間で意見が異なる場合が多々あるため、県で作成した措置児童用のアセスメントシートを活用しながら子どもの状況(例:特性の強さや行動観察、関わり方、心理判定)を共有し、家庭養育が可能な子どもは積極的に里親委託へ進めている。
⑤ 令和2年度からトレーニング事業を開始した(例:傾聴・共感・受容、ストレングスの見つけ方や表出、アンガーマネジメント)。
⑥ 子どもの行動観察シートを作成し、定期的に子どもができること、できないこと、できるレベル等を測り、里親自身の養育方法を振り返れる支援を開始した(例:強み・弱み、ストレングス)。また、必要に応じ、県里親会が実施しているカウンセリング事業とも連携している。
⑦ 県里親会で定期的に里親サロンが実施されているものの、里親会未加入の里親も多く存在するため、各児童養護施設で地区サロンを実施している。今後、訪問支援事業を委託しブロック毎にサロンを開催し里親会への加入の有無を問わず、横のネットワークを構築できるよう体制を整備していきたい。
⑧ 里親養育の支援者(例:児童相談所、里親支援専門相談員)自身が支援スキルを向上できるよう、随時、支援方策を協議している(例:質問の仕方、里親子関係の見立て、訪問時に留意する視点、支援内容)。
親と離れて暮らす子どもたちが幸せを感じて成長していくためには、家庭的な環境での養育はとても大切であり、何事にも優先して取り組むべきことだと感じています。
我々児童相談所は、子どもがこれから先に歩んでいくであろう道筋を変えるきっかけを作る一端を担っており、その責任は重大であるとの認識を強く持ってケースワークしていかなければならないと改めて感じました。
子どもの健全な成長や発達を保障するには、養育環境が大きな要因を占めるため、支援者として、里親さんが安定して、継続的に子どもと関われるよう支援体制(直接的だけでなく間接的な支援内容も含む)を構築するよう努めていきたいと考えています。
次回は、実際にフォスタリング事業を実施していただいている「こねくと」からお送りします。
(佐賀県の里親支援のロゴマークです)
フォスタリング事業の実施には、法人名ではなく、「佐賀県里親支援こねくと」という名称をつかって実施しています。
佐賀県中央児童相談所
佐賀県中央児童相談所は、佐賀県が設置する児童相談所です。
児童相談所は、児童や家庭の相談に応じて、児童の適切な福祉を図るための公的機関です。
その相談内容は多岐にわたりますが、たとえば、養育困難や児童虐待などの養護相談、未熟児や病児などに関する保健相談、児童の心身障害や知的障害などに関する障害相談、虞犯少年や触法少年に関する非行相談、不登校や家庭のしつけなどに関する育成相談といったものが挙げられます。
団体概要
団体名 | 佐賀県中央児童相談所 |
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連絡先 | 〒840-0851 佐賀県佐賀市天祐1-8-5 電 話:0952-26-1212 |
ホームページ | http://welfare.so-good.jp/child-consultation-center/ji1830.php |
児童相談所全国共通ダイヤル「189」 虐待かもと思った時などに、すぐに児童相談所に通告・相談ができる全国共通の電話番号です(通話料は無料です) |
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