当センターの事業は里親会の協力のもと実施しています。
例えば「里親サロン」（里親相互交流事業）では、企画をセンター、運営を里親会のサロン担当に任せています。参加する里親たちが何を語りたいと思っているか、どんなサロンを求めているか知っているからこそ、「また来たい♪」サロンが実現しています。

里親登録希望者がゲスト参加したり、養子縁組、週末里親…様々な方が気後れせずに参加できるようグループ構成やプログラムを里親目線で考えます。

この6月1日、委託率が50％を超えました。最大瞬間風速とはいえ驚きました。新規の委託が多かったから？ではありません。静岡市の委託率の高さは「不調の少なさ」に下支されているのです。

数年前に静岡市在住の全里親対象にアンケート調査を行いました。
その中に「養育に困難が生じたとき、誰に相談しますか？」という質問がありました。
里母の回答１位は「里親仲間」２位は「里親家庭支援センター」３位が「配偶者」でした。
ちなみに里父の回答は１位が「配偶者」２位は「里親家庭支援センター」３位が「里親仲間」と、妻を頼りにしていることがよくわかる微笑ましい（笑）結果。
これにより「里親仲間」が養育の大きな支えになっていることがわかりました。

里親という歩みの先を行く人、後から歩み始める人がいて、その人たちと話したり相談しあえることが養育の安心感につながっているということなのでしょう。

里親会役員が会員の顔だけでなく、どんな子どもを養育しているか、新規登録里親までも把握できるのは、会員家庭数100足らずの静岡市ならではかもしれません。

里親会の親睦行事のうち、児童相談所の一番大きなホールに入りきれないほどの里親子が集まるのが恒例のクリスマス会です。
ゲームやダンス、里親たちの出し物に盛り上がりますが、この日のメインは児童相談所所長サンタクロースと児童福祉司トナカイさんがこの日のために遠い国からやって来ること。子どもたち一人ひとりの名前を呼び、プレゼントを手渡してくれることです。
所長サンタクロースとCWトナカイさんを遠い国から呼んだのは里親会。今では毎年恒例になりましたが、呼ばなければ遠い国に離れたままだったかもしれません。

所長サンタから「大きくなったね」「一年お疲れさまでした」と労いの言葉がかけられる時、里親は元気をもらいます。

そして児童相談所もまた、里親がそれぞれの家庭の日常生活の中で「養育」を行っていること、子どもが確実に成長していることを再認識されることでしょう。

里親会の役割＝子どもの幸せの砦を築く

里親は児童相談所から託されて養育するというだけの存在でしょうか。

子どもたちが里親家庭を安全基地にして地域で安心安全に成長するためには、里親が児童相談所をはじめとする子どもを取り巻く関係機関に我が里子のことをよく知ってもらえるように、働きかけていく力、つながる力、協力者を増やす力を身に付けることが、子どもの幸せのための砦づくりだと考えます。

ひとりでは難しい…でも、里親会という団体ならできることもあります。

静岡市の里親会が年月をかけて「顔の見える関係」を作り「つながり」信頼関係を構築してきたこと、これはこれからの「フォスタリング機関」が目指すところでもあります。
今後、フォスタリング機関の養育支援が機能するためには、その地域の里親同士のつながりや里親会の動きがカギになっていくのかもしれません。