© ONE LOVE All Rights reserved.
今回の講演者

古屋 康博 (こや やすひろ)氏
社会福祉法人 清浄園(大分県中津市)施設長
全国児童養護施設協議会「季刊児童養護」編集委員、こ家庁補助「こども家庭センター等における支援事業の構築及び活用の効果的方策に関する調査研究」委員、こ家庁委託「こども家庭センター設置昨日強化促進(伴走相談支援)業務」委員、こ家庁「こどものケアニーズに応じた支援の在り方に関する専門委員会」委員
児童養護施設を取り巻く環境は大きく変化しています。社会的養護の理念が「家庭的養護」へとシフトする中で、施設には新たな役割と機能が求められています。本日は「施設養育とその方向性」として、①施設の高機能化、②施設の多機能化、③里親と施設との協働という3つの大きなテーマについてお話しいただきました。

講座内容①施設の高機能化
セルフアドボカシーの推進
施設の高機能化において最も重要な取り組みの一つが、セルフアドボカシーの推進です。セルフアドボカシーとは、子ども自身が自分の権利を理解し、主張する力を育むことを指します。 清浄園では、大分県が作成した「私の権利ノート」を活用した権利教育を実施しています。このノートには、子どもたちの基本的な権利が分かりやすく記載されており、職員と子どもが一緒に学ぶツールとなっています。
具体的な取り組み:
相澤先生をはじめとする専門家の指導のもと、子どもたちが自分の気持ちや考えを安心して表現できる環境づくりに力を入れています。
パーマネンシープランの策定と実践全措置児童に対してパーマネンシープランを策定し、 早期の家庭復帰を目指す支援を行っています。パーマネンシープランとは、 子ども一人ひとりに対して「永続的な安定した生活の場」を確保するための計画です。
取り組みの成果と課題:
このリターン問題への対応として、家庭復帰後のアフターケアの充実が不可欠であることが明らかになりました。
施設における専門的ケアの質を高めるため、以下の取り組みを進めています:

講座内容②施設の多機能化
アウトリーチ支援の展開
施設の多機能化の中核となるのがアウトリーチ支援です。従来の「施設内での養育」から「地域に出ていく支援」へと活動範囲を広げています。
具体的な活動:
ショートステイ事業
子育て家庭が一時的に子どもを預けられるショートステイ事業を展開しています。これは、保護者の病気や出張、育児疲れなどの理由で、一時的に子どもの養育が困難になった場合に利用できるサービスです。
事業の意義:
地域の子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりにも取り組んでいます。
具体的な取り組み:
これらの取り組みは、地域の中で孤立しがちな家庭や子どもたちを早期に発見し、必要な支援につなげる役割も果たしています。
施設の多機能化は、以下のような効果をもたらしています:

講座内容③里親と施設との協働
レスパイトケアの提供
里親支援の重要な柱がレスパイトケアです。レスパイトとは「一時休息」を意味し、里親が休息を取れるように、一時的に子どもを施設で預かる支援です。
レスパイトケアの重要性:
施設が里親家庭にショートステイとして子どもを委託する取り組みも進めています。これは、施設で生活する子どもが定期的に里親家庭を体験することで、家庭的な環境に慣れる機会となります。
期待される効果:
施設と里親が対立するのではなく、協働する関係を構築することが重要です。そのための仕組みとして、コンソーシアム(共同事業体)構想があります。
コンソーシアムの目指す姿:
施設の専門性を活かして、里親への以下のようなサポートを提供しています:

ONE LOVEオンライン里親会ホームページにアップしております。
https://one-love.jp/report/index.html
“心の支え”となるコミュニティ
ONE LOVE オンライン里親会は、里親が抱える日々のつらさやしんどさ、喜びを共有できるコミュニティとしてすべての里親をサポートします。

オンライン里親会は、無料で参加いただけます
メンバー登録をするはじめて知った里親の方へ
ONE LOVE オンライン里親会とは里親や次世代の子どもを支えたい方へ
寄付で支える