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今回の講演者

駒居 康樹 氏
株式会社Levela 代表取締役/日本こども支援協会 CSO
社会的養育の当事者
かつて児童養護施設で生活を送っていた経験を持つ。
経営者としての顔
現在はSNS教育事業を展開し、年商数十億規模の事業を率いる株式会社Levelaの代表取締役。
支援活動
日本こども支援協会のCSO(最高戦略責任者)として、子どもたちのデジタルリテラシー向上や社会的養育の支援にも尽力している。
目次
講演内容① 今の子どもたちとSNSの現実
駒居氏はまず、現代の子どもたちにとってSNSがいかに身近な存在であるかを語られました。 「今の子どもたちにとって、SNSでのコミュニケーションは呼吸をするように当たり前のことになっています」と駒居氏は指摘します。 しかし、その日常の裏側には常にリスクが潜んでいます。
調査によると、30人中5名ほどの子どもが何らかのSNSトラブルを経験しているというデータがあります。 これは決して他人事ではなく、どの家庭の子どもにも起こりうることです。
身近なトラブルの例
限定公開のスクショ拡散
「親しい友達だけに」と限定公開した投稿が、スクリーンショットを撮られ、知らない間に拡散されてしまう。
裏アカウントでの悪口
匿名の裏アカウントで誹謗中傷を書かれたり、逆に書いているのが実は友達だったというケース。
ゲームでの個人情報漏洩
オンラインゲームで知り合った見知らぬ相手に、うっかり個人情報を教えてしまう。
おふざけ動画の炎上
悪気なく撮影した「おもしろ動画」のつもりが、社会的に許されない内容で大炎上してしまう。

講演内容② SNSトラブルの二大分類:「炎上」と「罠」
駒居氏は、SNSトラブルを大きく二つの性質に分類して解説されました。 一つ目は「炎上」、二つ目は「罠」です。
「炎上」とは、自分のミスや不適切な投稿が、本人の意図を超えて拡散されてしまう現象です。 アルゴリズムによって、意識の外からどんどん広められてしまい、一度火がつくと個人の力ではコントロール不能になります。 子どもたちは「これくらいなら大丈夫」「面白いから」という軽い気持ちで投稿してしまいますが、それが社会的な大問題に発展することがあります。
もう一つ、より深刻なのが「罠」です。これは、大人が明確な悪意を持って子どもの心理を操作し、被害を与えるものです。 駒居氏は「子どもたちに起きるSNSトラブルには、大人が仕掛ける罠があることを忘れてはいけません」と警鐘を鳴らしました。
講演内容③SNSトラブル1「炎上」:具体的な炎上事例とデジタルタトゥー
ここでは、実際に起きた具体的な炎上事例について触れられました。
バイトテロ:職場での悪ふざけを投稿し、店舗や企業に甚大な被害を与えるケース。
リベンジポルノ:交際中は信頼して送った写真が、関係が崩れた後に相手によって拡散されてしまう。
デズドルノート:匿名で個人の名前、写真、噂などが晒されるアカウント。嘘か本当かに関わらず、拡散されることで一生消えない傷となります。
某大手回転寿司チェーン店での醤油ペロペロ事件:少年の悪ふざけ動画が拡散され、企業に168億円もの損害を与え、少年自身にも6700万円の賠償請求がなされた事件。
15歳少女の全裸写真流出事件:SNSを通じて未成年のプライベートな写真が流出してしまった深刻な事例。
特に注意が必要なのが、Instagramなどの「消えるメッセージモード」です。 「閲覧したら自動で消えるから大丈夫」と油断して、過激な写真や個人情報を送ってしまう子どもがいます。 しかし、駒居氏は「デジタルで送った時点で、アナログな方法で残そうと思えばいくらでも残せる」と強調されました。 別の端末で画面を撮影すれば、データは永遠に残ってしまいます。
「炎上の1番怖いところは、一度出た情報というのは一生消えないので、それがデジタルタトゥーとして残ってしまうことです」
講演内容④SNSトラブル2「罠」:大人が仕掛ける「罠」と「グルーミング」
続いて、悪意ある大人が子どもを狙う手口について詳しく解説されました。
山梨県では、SNSで知り合った男が10代の少女をわいせつ目的で誘拐・暴行するという痛ましい事件が起きました。 また、沖縄県警の元警視が、裏アカウントで女子高生になりすまし、14〜16歳の少女を児童買春の対象としていた事件もありました。 警察関係者ですら加害者になり得る現実に、全国で衝撃が走りました。
駒居氏は「グルーミング」という手口について特に注意を促しました。 グルーミングとは、優しい理解者を装い、あたかも味方であるように見せかけて子どもを支配する手口です。 「騙すこと」が目的であることを周囲に悟られないよう、時間をかけて信頼関係を築き、子どもを精神的に孤立させていきます。

講演内容⑤ 里親・大人が知っておくべき対策
では、私たち大人はどうすれば子どもたちを守れるのでしょうか。駒居氏は以下の対策を挙げました。
一方的に禁止するのではなく、子どもと一緒にルールや対策を考える姿勢が重要だとされます。
対話を重視する:頭ごなしに否定せず、なぜ危険なのかを話し合う。
事例を共有する:実際に起きた事件やトラブルを例に出し、「こういうことが起きる可能性がある」と具体的に伝える。
フィルタリングの活用:ペアレンタルコントロールなどの技術的な対策も併用する。
駒居氏は、子どもと話し合う際に「絶対に守るべきライン」を明確にすることの重要性も強調されました。
【重要】絶対守るべきルール
1. ネットで知り合った人とは絶対に、直接会わない
ビデオ電話などで話したことがあっても、いくらでもなりすましはできます。画面の向こうの人物が本当に子どもと同じ年齢かどうか、本当に善意の人物かどうかは判断できません。直接会うことは命に関わる危険性があることを伝える必要があります。
2. 住所、学校名、本名などの個人情報を絶対に教えない
一度ネット上に出てしまった個人情報は取り返しがつきません。悪意ある大人が特定し、実際に接触してくる危険性があります。写真の背景から場所が特定されることもあるため、投稿内容にも注意が必要です。
3. 自分や他人の写真・動画を安易に送らない
消えるメッセージ機能であっても、スクリーンショットやカメラ撮影で記録できます。一度送信した画像は取り戻せないことを理解させることが大切です。
万が一、子どもがSNSトラブルに巻き込まれてしまった場合、大人はどう対応すべきか。駒居氏は、以下の対応が重要であると話しました。
【実践的対応】トラブル発生時の行動指針
1.叱らない
子どもは既に傷ついています。まずは「共有してくれてありがとう」と伝え、安心できる環境を作ることが最優先です。責めてしまうと、子どもは二度と相談してくれなくなる可能性があります。
2.記録を残す
怖くなって慌てて削除してしまう方が多くいますが、証拠を消すと警察が追えなくなり、対応に時間がかかってしまいます。必ずアカウント名や画面のスクリーンショット、写真を撮るなど、証拠を残しておくことが重要です。
3.専門機関に速やかに連絡・相談する
自分たちだけで解決しようとせず、専門機関の力を借りることが大切です。以下の相談窓口があります:
・警察サイバー犯罪相談窓口(#9110)
・児童相談所全国共通ダイヤル(189)
・法務省「子どもの人権110番」
駒居氏は、「トラブルが起きたことを叱るのではなく、勇気を持って話してくれたことを評価し、専門家と一緒に解決していく姿勢が大切」と話されました。

講演内容⑥ 質疑応答
Q1. SNSを禁止すべきか、それとも使わせるべきか?
完全に禁止するのは現実的ではありません。学校の連絡網や友だち付き合いなど、今や生活インフラの一部になっています。 禁止して隠れて使われるよりも、正しいリテラシー教育を行い、家庭内で納得感のあるルールを作ることの方が重要です。
Q2. グルーミングを見抜くには?
サインとしては、「急に優しくなる」「二人だけの秘密を共有させようとする」「親や周囲の大人から引き離そうとする(あいつらは分かってない、俺だけが味方だ等)」といった言動に注意が必要です。 子どもが不自然に特定の「ネット上の友達」に執着している場合は、慎重に見守る必要があります。
Q3. 子どもが被害にあったらどうすればよいか?
まず、子どもを責めないであげてください。「言ったら怒られる」と思うと、子どもは口を閉ざしてしまいます。 「話してくれてありがとう」と受け止め、一緒にスクリーンショットを撮って証拠を残すなど、冷静に対処方法を考えましょう。 必要に応じて警察や専門の相談機関へ連絡することも検討してください。
まとめ
本セミナーでは、SNS社会における子どもたちのリスクと、大人が取るべき対策について深く学ぶことができました。炎上やデジタルタトゥー、そして悪意ある大人によるグルーミングなど、リスクは多岐にわたります。
しかし、単に恐れるだけでなく、正しい知識を持ち、子どもと対話を重ねることで、リスクを減らすことは可能です。「絶対守るべきライン」を共有し、何かあったときにはすぐに相談できる関係性を築くことが、何よりの安全対策となるでしょう。
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