自粛生活で孤立する親子

青少年養育支援センター 陽氣会のファンドレイジング業務やWeb関連のサポートを担っている坂本輝男（さかもとあきお）です。今回は、陽氣会に私が参画するきっかけと、オンラインを活用した子育て支援の可能性について書きたいと思います。

あるニュースがきっかけで

ちょうど今から一年前の2020年4月中旬。朝食を食べながら何気なくテレビを見ていると、

「コロナの影響で自粛生活が続き、世界的に家庭内暴力が問題になっている」

というニュースが流れてきました。私自身、２児の父親であり、そのニュースはただの他人事とは思えませんでした。何か自分にできることはないのかと思い、知人を介して電話をかけたのが、陽氣会代表の杉江さんでした。

実はこのとき、まだ杉江さんとは会ったこともなかったのですが、電話で意気投合し、そこから陽氣会のオンラインでの子育て支援が始まりました。

コロナ禍によって増す不安やストレス

今回のコロナ禍は、対岸の火事などではなく、どんな人も「当事者」になったといえます。そして、こういった何かしらの社会危機が起こったときにまず苦しむのは、社会的に弱い立場におかれている人が多いといいます。

江崎グリコ株式会社が行った2020年秋の意識調査では、コロナ禍で「家族との時間が増えた」一方で、約7割のママが「孤独を感じている」ことが明らかになりました。

コロナ禍における子育てに関するパパママ意識調査より（江崎グリコ株式会社）

育児の不安を抱える、つい子どもにイライラしてしまうといった経験は、誰しもがあるはずです。そんなとき、誰かに話を聞いてもらって気持ちが楽になったり、周りの手助けによって不安やストレスが軽減したりするものです。

しかし現実には、周りに相談相手や頼る人がおらず「孤立」してしまっている親、まさに子育てが「孤育て」になってしまっている親たちがたくさんいます。そして昨今の新型コロナウイルス感染拡大が、その孤立をさらに加速させました。

オンラインによる、子育て支援の新たなカタチ

これまで陽氣会は、独自の「SS式 イライラしない子育て法」をベースに、子育て支援活動や児童虐待防止の活動をしてきました。

（過去記事参照 https://one-love.jp/relay/20210416.html ）

オンライン子育てサロン

さらに2020昨年5月からは、オンラインでのビデオ会議ツールを使った、「オンライン子育てサロン」を始め、子育てリレー講演会や子育てシンポジウムなどの活動を展開し、これまでに計1,000人以上の方にご参加いただきました。

オンラインの活動を始めた当初は、コロナ禍で物理的接触が制限され、オンラインを活用するしかなかったという状況でした。しかし、活動を続ける中で、オンラインの特性を活かした支援、つながりの可能性を大いに感じるようになりました。

育児という時間的・精神的に余裕があまり持ちづらい状況で、スマホやパソコンがあれば気軽に参加できること。また、ママ友だけでなく、各分野の子育て支援者と場所の制約を越えてつながることができる点は大きなメリットです。

不登校や発達障害、母子家庭や貧困など、子育てを取り巻く環境が複雑化する中で、困ったときに相談できる人とつながっておくことは、非常に重要になってきます。

実際に、オンライン子育てサロンの中では、１対多数のまなびの場といったものだけでなく、１対１の相談の機会もたくさん生まれ、多くの喜びの声をいただいています。

すべての親に子育ての喜びを、すべての子どもに生かしの道を

これは、陽氣会のミッションとして掲げているものです。

オンラインの特性を活かし、子育て中の親はもちろん、支援者にとっても、支援の地域格差や、支援機関の各部門といった垣根越えて支え合うことは、子育て支援の新たなカタチであります。

オンラインの支援、リアルな支援の両方のメリットを活しながら、孤育てにならないようにつながり合い、みんなで支え合う。それもすべては、一番身近な親が子どもに愛情を注ぎ、いきいきと子育てをしていくことが目的です。

今後も陽氣会では、日本こども支援協会様をはじめ、多くの方々と連携しながら、活動に励んでいきます。