2017年8月、厚生労働省の検討会において、今後の社会的養育のあり方を示す「新しい社会的養育ビジョン」が取りまとめられました。そして、2018年3月には、このビジョンをベースに、都道府県が社会的養育の体制について定める推進計画の見直し要領がまとめられました。
そこで今回は、新しい社会的養育ビジョンの定義および内容、里親制度との関係性を中心にまとめました。
近年、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数が急増している状況を受けて、2017年に児童福祉法が改正され、子どもが権利の主体であるという大きな視点の転換が行われると同時に、国や地方自治体の責務として子どもの家庭養育優先の原則が明記されました。
新しい社会的養育ビジョンは、改正児童福祉法の理念を具現化する目的のもと、従来の「社会的養護の課題と将来像※」を全面的に見直す形で、今後の社会的養育のあり方を示すとともに、そこに至る工程を示したものです。
※2011年6月に、厚生労働省によって取りまとめられたもの。「子どもの最善の利益のために」「社会全体で子どもを育む」の2点を社会的養護の理念とし、その機能として「保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護する」こと、「養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行う」こととしている。
新しい社会的養育ビジョンでは、家庭への養育支援を提供する目的のもと、身近な市町村におけるソーシャルワーク体制の構築と支援メニューの充実を図ることおよび、それぞれの子どもの状態に応じた多様なケアの充実を謳っています。
また、虐待の危険が高いなど集中的な在宅支援が求められる家庭には、児童相談所の指導のもとで、市町村が委託を受けて支援を提供するなど、在宅での養育支援の構築を図っています。
さらに、親子分離が求められるケースでは、代替養育は家庭での養育を原則とし、現在、社会的養護が必要な子どものおよそ9割が施設入所している現状を踏まえて、里親への委託を推進しています。
そのほか、新しい社会的養育ビジョンの主な内容を、以下にまとめました。
具体的には、実親支援や養子縁組の利用促進を進めたうえで、愛着形成など子どもの発達ニーズから考慮し、乳幼児期を最優先にしながら、フォスタリング機関の整備と合わせて、全年齢層にわたって代替養育としての里親委託率(代替養育を受けている子どものうち里親委託されている子どもの割合)の向上に向けた取組を開始しています。
これにより、愛着形成に最も重要な時期である3歳未満についてはおおむね5年以内(2022年まで)に、それ以外の就学前の子どもについてはおおむね2024年までに里親委託率75%以上を実現し、学童期以降はおおむね2027年までに里親委託率50%以上の実現を目指しています(2015年度末の全年齢における里親委託率は17.5%)。
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