医療的ケア児支援法とは?立法の目的や従来の課題も解説
最終更新日2024.04.04
公開日2024.04.05
医学の進歩を背景に、NICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な子どもたちやその家族への支援は、医療・福祉・保健・子育て支援・教育など多職種での連携が必要不可欠だとされています。
こうした中で2021年6月、医療面の介助が必要な子への対応を強化する「医療的ケア児支援法」が成立し、同年9月18日に施行されました。この法律により、国や地方公共団体は医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を負うことになります。
そこで本記事では、医療的ケア児支援法とはどういった法律なのか、立法の目的や従来の課題などとともに解説します。
医療的ケア児支援法とは
正式名称は「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」です。「医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行う」ことを基本理念として、国、地方公共団体、学校設置者などの責務が規定されています。
医療的ケア児とは
身体障害や知的障害の有無に関わらず、 生きるために医療的なケアを必要とする子どものことを、医療的ケア児(医ケア児)といいます。新生児集中治療室(NICU)等に長期入院した後でも、人工呼吸器や胃ろうなどで身体の機能を補ったり、痰の吸引や経管栄養を行ったりしながら生活しています。酸素吸入や数時間に1回の医療的ケアがあれば通常の生活を送ることができる児童から、自らの意思では身体を動かすことができない状態の児童まで、様々な児童が医療的ケア児に該当します。
医療的ケアの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
・経管栄養:食事のためのチューブを胃に通すこと。嚥下機能の障害などにより、口から食べ物を食べられない場合に、お腹に穴を開けたり、鼻からチューブを通したりして、胃に直接食事(栄養剤等)を入れる処置。
・気管切開:呼吸のための器具を喉に取り付けること。疾患などが原因で口や鼻がふさがってしまう症状がある場合、喉に穴を開け、カニューレ(通気の管)を通して空気の通り道を確保する処置。
このほかにもさまざまなケアの種類がありますが、共通しているのは何らかの医療デバイスによって身体の機能を補っている状態であるということです。
厚生労働省の資料によると、2021年における全国の医療的ケア児(在宅)は、推計で約2万人いて、この17年間で2倍以上に増加したことがわかっています。その一方、生まれる子どもの全体数は減り続けています。生まれる子どもが減っている一方で、医療的ケア児が増えていることは、生まれる子どもにおける医療的ケア児の割合が増えているということを意味します。
参考:
厚生労働省「医療的ケア児等とその家族に対する支援施策」
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