社会的養護下にある子どもを対象とした、国による自立支援金の貸付制度があることをご存じでしょうか?
これは、毎月決まった額の自立支援資金を支給することで、子ども達の安定した生活基盤を築き、スムーズな自立につなげるための施策です。貸付とありますが、一定の条件を満たせば、返済の必要はありません。上手に利用することで、里子の自立に繋がります。
この記事では、制度の内容や条件、利用するにあたって気を付けたいことなどをご紹介します。
社会的養護下にある子どもを対象に、毎月決まった額の支援金を支給することで、子ども達の安定した生活基盤を築き、スムーズな自立につなげるための施策です。
自立支援資金には『生活支援費』『家賃支援費』『資格取得支援費』の3種類があります。
自立支援資金の種類により、対象となる子どもが異なります。
●生活支援費
対象:
①児童養護施設等を退所した者または里親等の委託を解除された者のうち、保護者等からの経済的な支援が見込まれない者であって、大学等への進学者(以下、進学者と記載)
②就職者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響による内定取消や休業等により収入が減少し、経済的に厳しい状況にある者(以下、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける就職者と記載)
●家賃支援費
対象:
①進学者
②児童養護施設等を退所した者または里親等の委託を解除された者のうち、保護者等からの経済的な支援が見込まれない者で、就職している者(以下、就職者と記載)
●資格取得費
対象:
児童養護施設等に入所中または里親等に委託中の者であって、
就職に必要となる資格の取得を希望する者(以下、資格取得希望者と記載)
生活支援費
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家賃支援費
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資格取得費
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貸付期間
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①大学等の在学期間
②12か月間(休職期間を含む)
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①大学等の在学期間
②就労期間(退所または委託解除後2年を限度。コロナの影響で収入減の就職者は3年を限度)
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資格取得に要する期間
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貸付金額
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①月額5万円
※コロナの影響により経済的に厳しい状況にある者は、在学期間のうち 12か月間は月額80,000 円
②月額8万円
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月額家賃相当額
※ただし、居住地域における生活保護制度上の住宅扶助額の
単身世帯の額を限度とする
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資格取得に要する費用の実費とし、25万円を上限とする
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貸付金の交付
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半期(6カ月)ごとの分割交付
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半期(6カ月)ごとの分割交付
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全額を一括交付
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返還の免除
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大学等を卒業した日から
1年以内に就職し、
かつ5年間引き続き就業継続した場合など
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就職した日から
5年間引き続き就業継続した
場合など
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就職した日から2年間(大学等へ進学後に貸付を受けた場合は、
大学等を卒業した日から1年以内に就職し、かつ2年間)
引き続き就業を継続した場合など
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提出書類
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「借入申込申請書」(※自治体により名称は異なります)・「児童相談所長意見書」
連帯保証人を立てる場合は、「連帯保証人の直近の所得を証明する書類」 (源泉徴収票や所得・課税証明書等の写し) 以下のサイトで福島県の自立支援金関連の書類を見ることができます。 『【様 式 集】 - 福島県社会福祉協議会』 |
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大学等の入学・在学を
証明する書類
(合格決定通知や在学証明書等の写し)
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1ヶ月あたりの家賃相当額を
証明する書類
①大学等の入学・在学の証明書類
②就労していることを証明する書類
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資格取得に要する費用の
実費を証明する書類 |
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コロナの影響による申請希望者は、
新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少したことが確認できる書類(給与明細・預金通帳写し等。申立書による対応も可)
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まず、利子については、無利子での貸付となります。
また、返還についても上記表内の「返還の免除」の条件を満たせば、不要となります。
しかし、以下の場合は、返還しなければいけません(災害・疾病・負傷・その他やむを得ない事由がある場合を除く)。
①貸付けが打ち切られたとき
・貸付を受けている進学者が大学等を退学または死亡したとき
・貸付を受けている期間中に、就職者が就職先を退職または死亡したとき
②貸付を受けた進学者又は資格取得希望者が、
大学等を卒業した日から1年以内に就職しなかったとき
③資格取得支援費の貸付を受けた者が、
資格を取得する見込みがなくなったと認められるに至ったとき
④業務外の事由により死亡し、
又は心身の故障のために就業を継続することができなくなったとき
返還事由に該当し、返還期限を過ぎても返還が完了しない場合は年3%の延滞利子がかかってきますので、注意が必要です。
貸付を受けると、在学中は毎月の状況報告などが必要で、卒業後は就労の継続を確認するための各種書類を毎年取り揃えて提出する必要があります。就労中はもちろん、在学中はアルバイトと学業の両立などで忙しいと、書類の準備が滞りがちになってきます。
里親として、無理のない範囲でフォローをしてあげられると良いと思います。
◎参考資料:
厚生労働省『児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付制度実施要綱』
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