里親が委託を受ける場合、無戸籍、無国籍、外国籍児童の委託を受ける可能性があります。本記事では、そういった児童の委託を受ける場合についての情報を記載しますので、いざという時に備えてもらえたら嬉しいです。
里親になるときに研修を受けますが、それは一般的な事柄で、預かる子どもの抱えている問題が明らかになってから、自分の知識の足りなさに気づくことになります。そういう意味では、子どもがやってきてからが本当の意味で学ぶことの大切さを味わうことになるでしょう。
DVで別居中に別の男性との子どもができて、その結果、無戸籍の子どもを預かることになった里親、外国人の女性が病院で出産したのち行方をくらまし、無国籍となった子どもを預かることになった里親、外国籍の子どもを預かることになって対応に悩むことになった里親など、実際にその子どもがやって来てみないと対応の仕方は難しいと言えます。
しかしこうした場合でも、児童相談所の職員は、「法的な問題は別にしてまずは養育に専念してほしい」というだけで、これらの子どもの課題に向き合おうとはしてくれないものです。
このコーナーで、そうした場合のアドバイスをと思いますが、外国籍の子どもの場合は生まれた国やお母さんの国籍などが影響し、一概に言うことはできません。
一つのケースを通してみていきましょう。
ある里親が1歳になる女児を乳児院から預かることになりました。児童相談所職員から、無国籍の子どもだと告げられます。子どもは成人すれば国籍を選べるからあなたは育てることに専念してくれればいい、と言われます。どうやら道端で女性が産気づき産院に運ばれて出産したとのことです。女性は「今の自分には育てることができない」とメモを残して姿をくらましたとのことで書置きにはタイの住所や氏名が書かれていました。
里親は、無国籍のままでいいはずがないと家庭裁判所に後見人の申請をし、名前を付けますが、苗字は戸籍や国籍がないと付けられません。そこで同じく家庭裁判所に就籍のための審判請求をしますが、書置きでお母さんが外国人であることが分かっているから審判請求を取り下げ、大使館と交渉してほしいと言われます。
大使館と交渉し、タイの国籍をもらうことができました。ところが入管にこのことを知らせると、不法滞在にあたるとの判断です。なぜ出産から1か月以内に届けないのかと言われてしまいます。突然犯罪者扱いです。書置きがなければ棄児として届け市長の苗字をもらい育てられるのに、と里親は思ったそうです。
入管との折衝で、どうにか日本への永住権を獲得できましたが、罪を犯すなどすれば永住権を剥奪される恐れもあるため、里親は日本国籍を取るために養子縁組をしたと言うことです。こうした手続きに7年もの歳月がかかったと話します。
たとえばフィリピンの女性と中国の男性が日本で結婚して子どもが生まれた場合、フィリピンか中国の国籍を選択することになります。日本の国籍ではないですし、また国籍の取得を怠っていれば子どもは無国籍になってしまいます。
要保護児童のうち人数的には少ないものの、いないわけではありません。日本のなかで国際化が進み、子どもの国籍で悩むことが多くなりました。
先に触れたDVで別居中の女性が別の男性との間に子どもができた場合の無戸籍の問題は国として明確な対応がなされていません。
フィリピンの女性から生まれた女の子で、里親家庭で成長して、結婚相手も見つかりましたが、フィリピンの場合は子どもが26歳になるまでは親の承諾が必要だとのことでした。お母さんは行方不明で、結婚できずに困っていました。
国籍に絡む問題はそれぞれの国によって事情が異なり、対応も別れます。里親だけでは手に余ることが多く、大使館や同国人に聞くなどして問題解決をはかりましょう。子どもが成人すれば自分の判断で解決できる、という児童相談所の対応は子どもの権利などから逸脱しています。無国籍でも義務教育などは受けられますが、予防接種の案内などはきません。不利な対応となることも考えられます。
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