近年、子どもに対する悲惨な虐待事件やいじめ、自殺などの報道が後を絶たず、子どもをめぐる環境は厳しさを増しています。
こうした状況下で、子どもたちが安全に育つ権利を保護するためには、子どもの権利に関する包括的な国内法を制定することに加えて、「子どもコミッショナー」と呼ばれる、子どもの声を受け止めて政策提言を行う第三者機関の存在も必要不可欠であると考えられます。
そこで今回は、子どもコミッショナーの概要のほか、必要性や担う役割について分かりやすくお伝えします。
子どもの権利や利益が守られているかどうかを監視して子どもの代弁者として活動する、子どもの権利擁護を目的とする機関のことです。別名、「子どもオンブズマン/オンブズパーソン」「子どもの人権機関」などとも呼ばれています。
1981年にノルウェーで制度化されて以降、1989年の国連総会で子どもの権利条約が採択されたことをきっかけに世界に拡大しており、欧州ではすでに47カ国中34カ国に導入されています。アジア地域でもインドネシアやフィリピンなどの国に設置されており、州を含む地方組織に設置する国もあるものの、日本では依然として整備されていません。
現在の日本に子どもコミッショナーが必要とされる最大の理由は、子どもをめぐる環境が深刻化している状況にあります。近年、児童生徒の自殺が後を絶たず大幅な増加傾向にあり、文部科学省の調査によると、2020年度における小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は415人(前年度317人)で,調査開始以降で最多を記録しています。
その一方、子どもに関して問題が発生した際に、「子どもの権利」の視点に立たず、大人の視点が優先されるケースも多く見られます。また、理不尽な校則(いわゆるブラック校則)を変えようと児童生徒が声を上げても十分に尊重されずに、その後声を上げることを諦めざるを得ない子どもも多く存在するのが現状です。
こうした問題の根底には、子どもの権利すべてを保障するための法律が存在せず、子どもの権利が軽視されがちな社会状況があると考えられており、子どもの代弁者として活動する「子どもコミッショナー」の整備を求める声が強まっているのです。
前述のとおり、子どもは大人と比較すると、人権侵害や社会的な不利益を受けた際に、行政などに改善の声を自ら届けられないケースが多く見られます。また、選挙権がないことから、子どもに関する政策にその意思を反映させることも難しいのが現状です。
そこで子どもコミッショナーは、こうした弱い立場に置かれた子どもの側に立ち、その声を代弁し、権利や利益を保護する役割担います。具体的には、独立した立場で子どもの意見を聞きつつ、その現状や政策を調査・監視し、必要に応じて制度改善に向けた意見表明や勧告などを行政に行います。
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