「見知らぬ子どもが家に勝手に入り込む」「見知らぬ子どもにおやつを要求される」。近年、無邪気や同情という言葉では片付けられない子ども「放置子」の存在がクローズアップされています。放置子への対応に悩みを抱えている人々の声が大きくなりつつあるのです。
そこで今回は、近年関心が高まっている放置子の問題について、概要や発生する要因、対応方法などをまとめました。
放置子とは、親から放ったらかしにされている(ネグレクトを受けている)子どもをさします。近所を歩き回ったり、顔見知りになった人の家に上がっておやつをねだったり、その家に居座って帰らなかったりするのが特徴です。
なお、放置子という名称については、2022年3月時点において福祉などの専門用語という位置付けにはなく、主にインターネット上で使用されている俗称です。
放置子に見られる特徴的な行動の具体例を以下にまとめました。
上記の特徴に該当するならば、その子どもは放置子である可能性が高いです。
放置子のこうした行動を受けて、「毎日のように放置子が家に遊びに来て困っている」「いつまでも長居されるから、家事や食事などを行う時間が遅くなってしまう」などと悩んでいる方は少なくありません。
放置子の存在が目立っている要因には、子供を育てる家庭環境の変化があります。もともと日本では専業主婦家庭が全体の多くを占めていましたが、現在では共働き家庭が多数派となっているうえに、ひとり親家庭も急増しており、子どもが親の存在なしで過ごさなければならない時間が増えています。
こうした環境の変化と放置子の増加には、少なからず関係性があると考えられています。
放置子の行動に悩まされている場合、以下のような対応を取ることが望ましいです。
厚生労働省の資料によると、2020年度における児童相談所での虐待相談件数は205,044件であり、過去最多を記録しています。このうち、ネグレクトは、31,430件(15.3%)です。
特にインターネット上では放置子を「迷惑で邪魔な存在」と扱う人も見られますが、虐待を受けている児童の可能性もあることから、保護すべき対象として受け止め、必要に応じて児童相談所に相談することが大切です。
なお、児童相談所への相談は、匿名で行うことが望ましいです。なぜなら、相談時に自身の名前を明かしてしまうと、自身が通報した事実を放置子の保護者に知られてしまう可能性があるためです。児童相談所へ相談する際は、「疑わしい」と感じた点をしっかり伝えることで、匿名であっても緊急度が高いと判断してもらえます。
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