児童心理治療施設とは、社会生活への適応が困難になった子どもを一定期間入所させて、心理面の治療・生活指導などを行う施設のことです。
児童相談所に保護される子どもには医療的ケアが必要であると考えられていますが、早期のタイミングから医療が介入して親子を支援するためにも、児童相談所と児童心理治療施設を併設する重要性を指摘する声が強まっています。
そこで今回は、児童心理治療施設の定義や概要、入所する子どもの特徴、仕事内容、近年のデータ・動向を中心にまとめました。
児童福祉法に定められた児童福祉施設であり、心理的問題を抱えており日常生活の多岐にわたって支障をきたしている子どもに対して、医療的観点のもとで生活支援を基盤とした心理治療を中心に、学校教育との緊密な連携による総合的な治療・サポートを提供する施設のことです。実施主体は、都道府県・指定都市・児童相談所設置市などです。
児童心理治療施設による治療・サポートの提供対象は、心理(情緒)的・環境的に不適応を示している子どもおよび、その家族です。
また、子どもの対象年齢は、小・中学生を中心に20才未満とされており、施設への入所(宿泊)・通所は児童相談所(長)が適当と認めた場合に、措置として決定される仕組みです。なお、入所する子どもの平均年齢は、12.9歳です(2018年時点)。
厚生労働省の資料より養護問題の発生理由(児童心理治療施設に入所した理由)を見ると、
子ども自身の問題による監護困難が約40%と最も多くの割合を占めています。次いで、保護者による虐待や育児放棄などが続いている状況です。
また、子どもの児童心理治療施設への入所経路を見ると、最も多いのは家庭からの入所(56.4%)で、次いで児童養護施設からの入所(14.9%)が多い状況です。
そのほか、入所する子どもの心身状況を見ると、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・反応性愛着障害など、心身に何らかの課題を抱えている子どもたちが約80%以上を占めています。
参考:厚生労働省 子ども家庭局厚生労働省社会援護局障害保健福祉部「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月1日現在) 」令和2年1月
児童心理治療施設が手掛ける仕事の内容は、主に以下のとおりです。
仕事内容 |
概要 |
心理的治療 |
精神科や小児科の医師による、カウンセリングを用いた心理療法の実施。それぞれ子どもの状態に応じて、症状の緩和のために服薬による治療を行うこともある。 |
生活支援 |
自立に向けて多くのことを経験し自信を取り戻してもらうことを目的とした支援のこと。職員や他児との寝起き・食事・遊びや作業などを通じた支援を行う。 |
教育支援 |
近隣の学校・分校・分教室や教育委員会などと連携し、学校教育を保障・支援する。通常の学校や学級の単位よりも小規模・少人数による教育が実施され、それぞれの子どもの能力に応じた支援が提供される。 |
家族・地域との連携 |
退所後の生活にスムーズに移行できるよう、家族との関係調整や学校との連絡調整を行う。 |
児童心理治療施設の概要に関する近年の動向は以下のように推移しています(いずれも平成28年10月1日時点から、令和3年3月末時点にかけての推移)。
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