国連で「子どもの権利条約」が採択されたのは1990年のことであり、それから4年後の1994年に日本はそれを批准しました。その当時、国内で子どもの権利に関する関心が高まり、社会的養護関連でも「子どもの権利ノート」を作成して配布されるなどの動きが活発化しました。
その後、子どもの権利については2016年の児童福祉法の改正により、第1条で子どもの権利がうたわれました。社会的養護関係者の関心がさらに高まっており、各地で「子どもの権利ノート」を見直すなどの動きが見られます。
そこで本記事では、子どもの権利ノートの定義や作成の目的、各自治体での取り組み例などをまとめました。
児童養護施設をはじめとする児童福祉施設に子どもたちが入所する際に配布される小冊子を、「子どもの権利ノート」と呼んでいます。冊子内では、施設内で子どもの権利が守られることに関してわかりやすく説明されているほか、施設の外に相談したくなった際の自治体の担当窓口および施設の第三者委員の連絡先などが掲載されています。
それぞれの自治体や施設ごとに作成されており、1995年に大阪府が作成したことがきっかけとなりその動きが全国に広がりました。権利ノートの配布および活用に法的義務は課されていないものの、自治体や施設の自発的な取り組みとして活用が推進されている状況です。また、自治体によっては里親家庭に委託された子どもたちや自治体内の子どもたちに配布されています。
子どもの権利ノートは、施設で生活する子ども自身が自らの権利を知ることができるように、子どもにわかりやすい表現で記載されています。子どもの施設入所措置にあたって児童相談所職員が子どもに対して配布している自治体も多く、これのさらなる活用が期待されている状況です。
そこで自治体や施設において、子どもの権利ノートを見直す動きが活発になっています。例えば、鳥取県では、以下のような取り組みがおこなわれています。
最後に、各地域の里親会における子どもの権利ノートの活用状況に関するアンケート調査の結果を簡単に紹介します(調査対象は全国各地域にある33の里親会)。
子どもの権利ノートの作成・配布主体は「都道府県(市)の担当部署」が16里親会(48.5%)でした。また、子どもの権利ノートの配布対象について複数回答で尋ねると、「里親向け」との回答が4里親会(12.1%)、「高齢児童向け」が18里親会(54.5%)、「低年齢児童向け」が16里親会(48.5%)と報告されました。
配布方法を聞くと、「子どもが委託されるとき」が最も多く11里親会(33.3%)、「里親登録すると配られる」「必要だと言えばもらえる」がそれぞれ1里親会(3.0%)と報告されています。
参考:公益財団法人「全国里親だより第131号 2022冬号」令和4年2月20日
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