こども若者シェルターとは?支援の概要や必要性・実施主体を解説
最終更新日202506012
公開日2025.06.12
令和6年度から、こども家庭庁は家庭に居場所がない子どもや若者を支援するため、「こども若者シェルター・相談支援事業」を進めています。
こども若者シェルターは、児童養護施設や一時保護施設への入所を希望しない子どもたちも利用できる新たな選択肢として設けられます。また、20代の若者など、社会的養護の枠組みでは対応が難しいケースにも支援が拡大されています。
「こども若者シェルター・相談支援事業」の対象は、家庭に居場所がない10~20代の若者たちです。特に18歳未満で児童養護施設や一時保護施設を希望しない場合や、自ら利用を申し出た場合に利用できる新しい受け皿として機能します。
この記事では、「こども若者シェルター」の目的や詳細について解説します。
こども若者シェルターとは
こども若者シェルター・相談支援事業は、家庭に居場所を見つけられない子どもや若者に対し、安全で安心できる宿泊や夜間利用が可能な居場所を提供する事業です。この取り組みには、大きく分けて以下の2つがあります。
1つ目は、宿泊や夜間の利用が可能な居場所の提供です。対象は子どもや若者で、利用時間は宿泊もしくは夜間帯(例: 23時頃まで)での利用が想定されています。利用期日は、数日から最大2か月程度です。
2つ目は、支援サービスの提供です。シェルターを利用する子どもや若者に向けて、以下のようなサポートを実施します。
・基本相談(必須):現在の悩みや今後の生活に関する幅広い相談対応
・心理カウンセリング:心理的なサポートを提供
・就労・就学支援:社会復帰や学び直しを支援
・弁護士によるサポート:法的な問題に関する助言や支援
基本相談は全員に提供され、その他の支援は必要に応じて加算形式で対応します。このように、こども若者シェルターは子どもたちが安心して過ごし、次のステップに向かうための支えとなる施設です。
夜の街をさまよう子どもたちと「こども若者「シェルター」の必要性
近年、都市部で「トー横キッズ」や「グリ下キッズ」と呼ばれる子どもや若者が、夜の繁華街をさまよう姿が問題視されています。彼らは家庭での虐待や家族との不和などを理由に、夜の街を一時的な避難所として選んでいます。しかし、犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが後を絶たず、メディアでも頻繁に取り上げられています。
この問題は都市部だけに限らず、家庭の事情で居場所を失った子どもや若者が車中泊やネットカフェ、路上で過ごしている例は多く見られます。一時保護施設への入所を望まない、または年齢制限で支援対象外となる場合、安全な居場所が確保されないという課題があります。
こうした子どもや若者たちは性犯罪や暴力の被害に遭うリスクが非常に高く、家庭に戻れない場合は社会から孤立し、悪循環に陥る可能性が高まります。このまま支援が届かなければ、さらに深刻な状況に追い込まれるおそれがあるでしょう。そのため、昼夜を問わず安心して過ごせる居場所の確保が急務となっています。
こうした背景を受け、こども家庭庁は「こども若者シェルター」の整備を進めています。このシェルターは、家庭に居場所がない子どもや若者が宿泊を含む支援を受けられる、安全な場所を提供することを目的としています。
事業の概要
こども若者シェルターの実施主体は、以下のとおりです。
・都道府県
・指定都市
・児童相談所設置市
以下に、補助基準額をまとめました。
・基本分:1か所あたり 1,757万9,000円
・加算分:1か所あたり 2,308万7,000円
補助率は下記になります。
・国:補助額の 1/2
・都道府県・指定都市・児童相談所設置市:補助額の 1/2
上記の体制により、自治体と国が協力してシェルターの運営を支えています。
参考:
こども家庭庁「こども若者シェルター・相談支援事業」
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