「CHAMPS」とは、「Children Need Amazing Parents」の略称で、
アメリカ全土で質の高い里親養育を推進するための政策キャンペーンです。
2020年から2024年にかけての5年間で、
全米42州における「Foster and Adoptive Parent Diligent Recruitment Plan
(里親・養親のリクルート計画)」を実施しています。
この計画では里親や養親の募集に関する様々な取り組みが行われており、
その成果や学びがアメリカのWebサイトで公開されています。
日本とアメリカでは文化的背景が大きく異なりますが、
最近のアメリカでのオピオイド・クライシス(※)の影響で、
代替養育が必要な子どもの数が急増しました。
この事態に対応するためにアメリカで行われている里親募集の戦略は、
日本においても有益な参考情報となる可能性があります。
アメリカでの経験や取り組みが、
日本での里親募集の改善に役立つヒントとなることが期待されています。
(※)依存性の高い医療用麻薬の過剰摂取により
中毒者・死亡者が増加した問題。
2017年には国家非常事態宣言が発令された。
CHAMPSでは、各州の計画を分析した結果、
これからの効果的な里親リクルートを支える
以下の6つの視点が整理されています。
次章では、日本において特に重要だと思われる点に着目し、
理解を深めていきます。
「子ども中心のアプローチ」とは、里親を募集する際に、
養育が必要な子どもとその家族のニーズを最優先に考えることを意味します。
日本では「子どもの最善の利益」を追求することが
社会的養育の基本とされていますが、
実際にこの原則が里親募集の戦略に生かされている例はまだ少ないのが現状です。
■国内での里親募集の取り組みとアメリカの事例
一般的には里親希望者の心理的な負担を軽減する目的で
「短期養育」のようなメッセージが使われることが多く、
地域にいる子どもたちの具体的なニーズに基づいて、
募集戦略が策定されることは珍しいと言えます。
特に里親を増やすために考案された募集メッセージは、
里親希望者の応募理由にも大きく影響します。
〜「多人数の兄弟姉妹」を預かる里親募集の事例〜
全国的に不足が顕在している「多人数の兄弟姉妹」を
預かる里親を対象とした実践についての事例をみてみましょう。
例えば、アメリカのニュージャージー州では兄弟姉妹が
一緒に暮らせることを重視しており、
4人以上の兄弟姉妹を一緒に育てる場合、
追加の支援金が提供されます。
具体的には、兄弟姉妹1人あたり100ドルが加算されます。
兄弟姉妹を育てる際に直面する特有の課題に対応するためのプログラムや、
専門機関によるサポートも提供されています。
〜家庭養育の増加〜
アメリカにおいて親族による子どもの預かり(kinship care)
を通した家庭養育が増加しているのは注目すべき現象です。
また、血縁はなくても子どもと親密な関係にある人を
「fictive kin(親族のような関係)」として、
親族と同等の扱いをする州も存在します。
親族による預かりは子どもの最善の利益に合致するとの研究も存在し、
「fictive kin(親族のような関係)」を含む養育や
里親リクルートの実践は、
日本における社会的養育の参考になる可能性があります。
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