子どもの権利とは、世界中のすべての子どもが、心身ともに健康に、自分らしく育つための権利です。この権利は、1989年11月の国連総会で採択された「子どもの権利条約(英語:Convension on the Rights of the Child)」に定められています。
UNICEFは子どもの声を代弁する国連機関として条約の草案づくりに参加し、各国がこの条約に入るよう全世界で働きかけました。こうした成果が身を結び、2019年時点で国連加盟国数を上回る196の国と地域で締約され、世界で最も広く受け入れられている人権条約となっています。
今回は、子どもの権利条約に関して、概要や内容、歴史などを中心に解説します。
子どもの権利条約とは、1989年に第44回の国連総会で採択され、翌年に発効された子どもの権利に関する具体的規定がなされた前文および54条からなる国際条約をさします。日本における正式名称は、「児童の権利に関する条約」です。
2016年には児童福祉法の一部が改正され、日本の児童福祉において、子どもの権利条約の内容が第一義的な考えとして用いられるようになりました。また、国は改正法を具体化していくために「社会的養護の課題と将来像」を見直し、「新しい社会的養育ビジョン」を打ち出しています。
「新しい社会的養育ビジョン」の骨格として、地域・家族の変化・それに伴う私的養育が弱まった背景に伴って、子どもの権利や子どものニーズさらに家庭のニーズも考慮し、支援を行うためのソーシャルワーク体制の構築と里親の推進など支援の拡充が図られています。
なお、子どもの権利条約の締結国には、「子どもコミッショナー」もしくは、その機能を果たす機関の設置が求められています。子どもコミッショナーとは、子どもの権利や利益が守られているかどうかを監視して子どもの代弁者として活動する、子どもの権利擁護を目的とする機関のことです。
子どもコミッショナーについて詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。
子どもの権利条約が定める内容は大まかに分けて4つあります。以下に、簡単にまとめました。
概要 |
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生きる権利 |
・健康に誕生し、予防できる病気などで命を奪われないこと ・病気やケガをしたら治療を受けられること ・人間らしく生きていくための生活水準が保護されること など |
育つ権利 |
・自身の名前や国籍を持ち、親・家族と共に生活できること ・教育を受け、休んだり遊んだりできること ・考えや信じることの自由が保護され、自分らしく育つことができること など |
守られる権利 |
・あらゆる種類の虐待・放任・搾取・有害労働などから守られること ・障がいがあったり、少数民族であったりする子どもはとりわけ守られること ・戦争から守られ、犠牲になった子どもの精神や身体が守られること など |
参加する権利 |
・自由に意見を示したり、集まってグループを作ったり、自由な活動を行ったりできること ・プライバシーや名誉が守られること ・成長に必要不可欠な情報が提供され、子どもにとって好ましくない情報から守られること など |
子どもの権利条約が生まれたきっかけは、1948年の「世界人権宣言」にあります。これは、世界中の人は同じ権利があり、平等な存在であることが示された宣言です。この宣言自体は法的効力を持ちませんが、以降に国際社会で人権に関するさまざまな条約が発行される先駆けとなりました。
年 |
出来事 |
1959年 |
子どもは子どもとしての権利をそれぞれもつとした「児童の権利宣言」が出される。これにより、宣言だけでなく実際に効力のあるものができないかと検討が始まった。 |
1978年 |
「子どもの権利条約」の草案をポーランド政府が提出した。 |
1979年 |
「児童の権利宣言」が20周年を迎える「国際児童年」。世界中の人が子どもの 権利について考える機会になった。国連人権委員会の中に「子どもの権利条約」の作業部会が設置された。 |
1989年 |
「子どもの権利条約」が国連総会で満場一致で採択された。 |
1990年 |
「子どもの権利条約」が国際条約として発効された。 |
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