里子の手術・輸血|児童相談所と連携し、実親の同意を得よう 里子の手術・輸血|児童相談所と連携し、実親の同意を得よう

医療

オンライン里親会に参加する 友だち追加でお役立ち情報を受け取る
日本こども支援協会

里子の手術・輸血|児童相談所と連携し、実親の同意を得よう

最終更新日2022.03.09 公開日2022.03.09

里子の法律上の親権者は実親です。養親は、委託にあたり、親権の内「監護・教育・懲戒」の3つの権利が認められていますが、里子の生活に密接に関わってくる「医療同意権」は実親が持ちます。もし、手術を受けなければならないのに、実親と連絡が取れない、もしくは実親が反対している場合はどうなるのか? この記事で考えます。

里子の医療行為には、保護者の同意が必要

医師が医療行為を行うには、原則として患者本人の同意を得なければいけません。この同意は、医師の説明を理解し、そのメリットとデメリットを判断できることで有効となります。子どもの場合は判断能力が乏しいため、保護者が子どもの医療行為に対して同意することが認められています。

 

里親家庭の里子の場合は、基本的に実親に医療同意権があります

 

児童相談所を通して、実親の同意書を得よう

緊急性はないものの、手術しないと里子の生命や身体に大きな影響があるという疾患を里子が抱える可能性はゼロとは言えません。

 

里子に手術を受けさせるためには、実親の同意が必要となってきます。基本的に里親が直接実親に連絡を取ることはできませんので、児童相談所の担当職員から連絡を取ってもらうことになります。

 

身内(母親)が養育里親をしているきくこさんは、里子ナナさんが手術をすることになった時の様子を以下のようにブログに書いています。

ナナさんの場合は、手術予定日ギリギリにはなったものの同意書のサインを受け取ることができ、無事ナナさんは手術を受けられたそうです。


このように実親の同意が得られた場合は、里親にとっては心労が続く日々ではあるとは思いますが、手術を受けられるという点では何の問題もありません。


しかし、「実親と連絡が取れない/返信してくれない」「手術(輸血)に同意してくれない」という場合はどのようにすると良いのでしょうか。

実親と連絡が取れない時、実親が手術に反対する時の対応策

実親に同意の確認ができない場合や里子に必要な手術(輸血)なのに実親が同意しない場合は、いわゆる「医療ネグレクト」に当たります。

 

「医療ネグレクト」に対しては、以下のような処置が取られます。

 

 ①親権停止の審判による未成年後見人又は親権を代行する児童相談所長等による措置

 

民法に

”父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。(第834条の2 第1項)”

 

と定められています。

 

具体的には、

 

児童相談所長が家庭裁判所に親権停止の審判を請求

 ↓

審判の確定により親権が停止

 ↓

未成年後見人又は親権を代行する児童相談所長等が医療行為に同意

 ↓

医療機関が必要な医療行為を行うことができる

 

という流れになります。



② ①の親権停止の審判が確定するのを待つ時間の余裕がない場合、

保全処分(親権者の職務執行停止・職務代行者選任)による職務代行者又は親権を代行する児童相談所長等による措置 

 

家事審判規則に

 

”児童相談所長が親権停止の審判を請求した場合に、これを本案として、本案の審判の効力が生じるまでの間、親権者の職務執行を停止し、更に必要に応じて職務代行者を選任する審判前の保全処分を申し立てることができる(第 74 条)”

 

と定められています。

 

家庭裁判所は、申立てにより、子の利益のため必要があるときは、親権者の職務の執行を停止し、また必要に応じて、その職務代行者を選任することができます。

 

職務代行者が選任された場合には職務代行者が、職務代行者がない場合には親権を代行する児童相談所長等が医療行為に同意し、医療機関が里子に対して必要な医療行為を行うことができるようになります。

 

◎参考資料:厚生労働省

医療ネグレクトにより児童の生命・身体に重大な影響がある場合の対応について

医療ネグレクトにより児童の生命・身体に重大な影響がある場合の対応の流れ



緊急性のない手術(輸血)に関しては、以上のような手続きが取られます。

 

ちなみに、令和 2 年1月から12月までの 1 年間に、医療ネグレクトを原因とする親権停止が全国で9件、親権喪失が8件、認められました。

 

◎参考資料:

裁判所『親権制限事件及び児童福祉法に規定する事件の概況―令和2年1月~12月-

 

まとめ

里親には、守秘義務があります。そのため、特に子どもの特定につながりやすい医療行為については、実際の対応について里親の生の声をネット上で探すことはとても困難です。


しかし、里子の生命や身体に関わることは、非常に悩ましい出来事ですよね。児童相談所や地域の里親会などと連絡を取って、どうか里親だけで抱え込まないようにしてください。オンライン里親会では里親だけが参加できるサロンも用意しています。ぜひ気軽に参加してみてくださいね。

ガイドブックをシェアする

医療の関連記事

  • 里子が交通事故にあった?!|緊急手術・輸血の際の同意書
    医療

    里子が交通事故にあった?!|緊急手術・輸...

    公開日2022.03.10

    最終更新日2021.12.20

  • 里子の手術・輸血|児童相談所と連携し、実親の同意を得よう
    医療

    里子の手術・輸血|児童相談所と連携し、実...

    公開日2022.03.09

    最終更新日2021.12.20

公式アカウントの
フォローをお待ちしています!

心の支えとなるコミュニティ

ONE LOVE オンライン里親会は、里親が抱える日々のつらさやしんどさ、喜びを共有できるコミュニティとしてすべての里親をサポートします。

NE LOVE オンライン里親会とつながって、知る・参加・相談できる

オンライン里親会は、無料で参加いただけます

メンバー登録をする

はじめて知った里親の方へ

ONE LOVE オンライン里親会とは

里親や次世代の子どもを支えたい方へ

寄付で支える
里親ガイドブック

里親ガイドブックは、日本こども支援協会が運営する里親のためのオンライン里親会「ONELOVE(ワンラブ)」事業の一環として提供しています。