里親制度におけるレスパイトケアとは?目的、課題を解説
最終更新日2022.05.16
公開日2022.05.16
今後、里親委託の件数が増加するにつれて、里親が養育に関して困難に直面するケースも増えてくると推測されます。こうしたケースにおいて、里親がレスパイトケアの制度を利用することは、いわゆる「燃え尽き症候群」による委託解除を避けるための有効策の1つとして考えられています。
そこで今回は、主に里親になることを検討している方に向けて、レスパイトケアの概要や目的、課題などをまとめました。
里親制度におけるレスパイトケアとは
そもそもレスパイト(英語:Respite)とは、日本語に訳すと「休息」「小休止」「息抜き」などを意味する言葉です。もともと介護業界で使用されていた言葉であり、介護にあたる家族が一時的に介護から解放されるよう、代理の機関や公的サービスなどが一時的に介護等を行うことで、家族と本人がリフレッシュできる期間を作るさまざまな支援サービスをさします。
ここから転じて、里親制度におけるレスパイトケアとは、委託児童を養育している里親家庭が、一時的な休息のために援助を必要とするケースにおいて、他の里親・ファミリーホーム・乳児院・児童養護施設などを活用して子どもを預けることをさします。援助の対象者は、現に委託児童を養育している里親です。
目的
里親制度におけるレスパイトケアの目的は、休息を取るために援助を必要とする里親に対して、一時的に当該児童を預かることにより、里親が行う委託児童の養育を支援することです。
里親手当の金額
従来、レスパイトケアの利用における里親手当の金額は全年齢ともに日額5,600円でしたが、2020年度より2歳未満については8,640円に改定されました。
(2歳以上は5,600円に据え置き)
期間
厚生労働省により、レスパイト・ケアの期間は、「各都道府県が必要と認める日数」であると定められています。(平成24年の改正以前は、全国一律で7日までという原則的な上限がありました)。
つまり、地域差が見られます。
ここで福岡市の例を挙げると、「1度の連続した実施期間は、必要と認められる日数であり、原則として7日以内」であると定めています。また、1年間の利用回数を「必要と認められる回数」としており、「レスパイト・ケアの実施が宿泊を伴わない場合は、1日実施したものとみなす」としています。そのほか、申請は、原則として希望する日の2週間前までに行うよう呼びかけています。
なお、岐阜県のように7日までとするところも依然として多いものの、大阪市のように上限を撤廃し、児童相談所が認めれば何日でも利用できる都道府県もあります。
課題
レスパイトケアは委託児童を養育している里親にとって役立つ制度であるものの、困難を感じた際に自ら相談できずに問題を抱え込んでしまう里親も少なからずいます。
そのため、レスパイトケアを効果的に活用していくには、児童相談所や里親支援機関などから里親に対してレスパイトケアを勧めるなどの積極的なアプローチも必要であると考えられています。
また、レスパイトケアの定義を拡大する検討も必要であると考えられています。つまり、厚生労働省の資料「里親の一時的な休息のための援助(レスパイト・ケア)実施要綱」にあるように、レスパイトケアを「乳児院、児童養護施設等又は里親」で実施するだけでなく、里親や里子のニーズに応じて利用できるサービスをレスパイトケアの視点から活用していくことも必要だと考えられています。
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