「養育里親」をスタートしたのは今から3年前。
現在6歳の活発な女の子Tちゃんと新米里親の「リアル」奮闘記です。
興味本位、里親考え中、そうで無い方など、少しでも知って頂き、何かのお役に立てましたならば幸いです。
乳児院で約4年を過ごした後、我が家に来てから半年が過ぎた頃には、家の中で過ごす「一日の スケジュール」的な「流れ」にも、最初よりは慣れて来た様子です。
Tちゃんは、産まれてからのこの4年間を乳児院の室内、敷地内、健診で行く小児科、歩いていける場所にある神社…これくらいしか行動範囲が有りませんでした。
とても狭い世界かと思います…。
いわゆる、一般家庭であれば周りに住んでる方との交流だったり、大人とコンビニへ買い物に行ったり、公園で知らない子を見かけたり、車に乗って景色を見たり、外で虫に刺されたり、転んだり…
一般的に幼児さんが「経験を通して学んでいく」と言うような事柄が、格段に少なかったと言えると思います。
乳児院職員さん以外の大人は見たことが無く、郵便屋さんのバイクの音にでさえ、両手で耳をふ さいで「コワイ…」と恐れ慄く状態でした。
特に「音」と「匂い」に敏感でした。
色々な要因はあるのでしょうがとにかく「経験の不足」を感じました。
施設によってもちろん違いはあるとは思いますが、乳児院では預かっている子供達を「安全」 に「生活」させる事こそが、第一優先になるかと思います。
看護師さんも常駐しており、何かあれば数秒で医療的な処置が行き届いでいる環境でした。
雨に濡れない様に屋内にいる
→雨に濡れた事ない
→傘と長靴に憧れ
→雨の中外に出たい!
と言う様な具合です^ ^
そんな環境下にあり「スーパーマーケットに食品を買いに行く」と言うような行動は経験しない事となります。
現在も尚、Tちゃんはスーパーの食品売り場が大好きです。
明るい陽気な音楽、明るい照明に広いスペース。食べる物はいっぱい並んでいる中、得意げにカートとカゴの準備をしてくれます。
この時のTちゃんは何よりも、表情がすこぶる良いです。めちゃくちゃ楽しそうです。
床の継ぎ目でケンケンパをしたり、大声で森の音楽家を歌ったり「ままこれ何?」とひっきりなしに聞いて来ます。もう、ルンッルンです♪
そんな姿も見え始めたTちゃんを、もっとルンッルンな気分にさせたくて、動物公園へ連れて行った事は、後に私たち夫婦に衝撃を与えました…
動物公園と言う「外の刺激」がまだ、強すぎたのかもしれません…
お弁当を作りいざ、動物公園に着くもTちゃんは周りの「人」の顔ばかりをキョロキョロキョロキョロと、目で追います。
私達の「ライオンがいるねー」「ゾウさんいるねー」の声は届かず、ただひたすらに知らない「人」を見上げては追いかけ、ついて行ってしまうのです。
まあ、ここまでは小さい子あるあるかもしれませんが、進路から外れてしまった為、主人は手を繋いで「こっちだよー」と促すと、何と 「やーめーてー‼だれかーたすけてー‼」と大声で叫びはじめたのです。
ビックリした主人は「なんで?手をつないだだけでしょう?!」と話すも続けます。
周りの人の視線が痛いです。
楽しみのハズのお出かけだったのに、予想外の反応に、慣れていない主人は大変なショックを受 けていました。
「なんで?」しかなかったと思います。
なんとかナダメて歩き出し、お弁当を食べました。Tちゃんは過食傾向にあり、夢中になって食べていました。
この日、Tちゃんは知らない「人」と食べ物にしか興味を示しませんでした…。
正直、主人はこの「3人での動物公園へ初めてのお出かけ」をとっても楽しみにしており、はりきっていました。それを感じていた私も楽しみでした。
楽しめるものだとばかり思っていた主人の心はなかなか回復せず、帰りの車はモヤモヤした空気 が流れていました。なんだかとっても虚しい?気持ちだった事を覚えています。
3年たった今は「遊園地に行きたい!」「海に行きたい!」など、それはそれは行きたい所だらけになってくれました。
この頃のTちゃんは、公園に行っても遊具で遊ぶことも無く、あまり楽しそうでは有りませんでした。ブランコに乗れるようになったのは、この半年位あとになってからです…
経験が無いので、怖かったのだと思います。楽しいを知らなかったのかもしれないです。
その後、何度か例の動物公園に行っていますが、今では「帰りたくない!」と言うまでになりました。
あの時、なぜ「助けて〜」と他の大人に助けを求めたのか…お試し行動の一環だったのでしょう か…
この頃のTちゃんの求めていたモノは特別なお出かけでなくとも、ルンルンな気分とキラッキラの目になれる、あのスーパーの食品売り場だったのかもしれません。
「一つだけ好きな物を買って良いよ!」と毎回言いますが、いつだったか「ホッキ貝のマヨネーズあえ」を選んだ時はビックリしました。
私の中では勝手に「おやつ」だとばかり思っていたからです。
私の「楽しいだろう」「好きだろう」とTちゃんの「好き」「楽しい」はいつも同じではないと言う事を忘れないように気をつけようと思いました。
その子の「好みの傾向」や「特性」を分からないので、当たり前と言えば当たり前なのですが、私もTちゃんと過ごす「これからの経験」の中で習得して行けるよう、アンテナを立てていたいと思います。
Tちゃんの心の中は分からない事だらけでしたが見える世界を広げ、沢山の経験をする事で心が豊かになると良いなあと思いました。それは里母の私にも言えることかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました^ ^
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