人は不安になると、安心できる言葉をかけてほしくなるものですね。
特に、特定の人(主に親)との深い絆がない愛着障害の子どもの場合、安心を得るためにかけて欲しい言葉はたくさんあり、その言葉をかけてもらうために、相手を誘導することもあります(笑)
今回は、我が家の里子Rくん(当時6歳)が繰り広げたその誘導術(笑)と、私が導き出した対応術について書かせていただきます。
参考になれば幸いです。
Rくんは、生まれて間もなくから4歳まで、乳児院と養護施設で育ちました。 4年の間に数ヶ月家庭復帰をしましたが、その時に実親さんから虐待を受けた被虐待児です。 委託時、発達の遅れありとのことで、お話は聞いていましたが、後にASD、ADHD、愛着障害の診断を受けました。 知的にも遅れがあり、現在は小学校で、支援学級に在籍しています。
子どもは基本、お母さんが大好きなので、お母さんが普段履かないスカートを履いたり、ちょっと髪型を変えるだけで「お母さん可愛い!」「お姫様みたい!」と褒めてくれます。(子どもが小さい時限定ですが)
お姫様にはほど遠いけど、嬉しいものです。
私も子どもの頃を思い出すと、いつもエプロン姿の母がおめかしすると、母が変身したみたいで嬉しい気持ちになっていました。
Rくんも「お母さん可愛い、めちゃめちゃ可愛い!」と言ってくれました。
1日に何度も。何度も。何度でも。
廊下を歩いていると
「お母さん可愛い!大好き!」
「ありがとう!」
料理してると
「お母さん可愛い!大好き!」
「どーもどーも」
お風呂上がりの、すっぴん顔テカテカおばさんになっても
「お母さん可愛い!大好き!」
「・・・・・」
子どもあるあるも、度が過ぎれば違和感を感じるものです。
Rくん、「お母さんもRくんのこと大好きよ」の言葉がほしいんです。
はい。その手には乗りまっしぇ〜〜〜〜ん♪♪
それくらい言ってあげたらどうですか?
不安だから確認したいんじゃないですか?と思われるかもしれません。
Rくんと関わってわかった事。
彼が求めるものに、すべて応えるのが良いとは限らない。
多くの子どもは、チョコレートの味を知ってしまったら、取り憑かれたように食べたがりますよね。
なんだ、このおいしいたべものは!
なぜいままでおしえてくれなかったんだ!
と言わんばかりに(笑)
「チョコちょうだい」→チョコあげる
「もっとチョコちょうだい」→チョコあげる
を繰り返すと、言えばもらえるのが当たり前になる。
そうなると、貰えない時、不満がでる。
「今日はチョコないよ」と言ったならば
「なんでないの!!いつもくれるのに!僕のこと大事じゃないんだね!」
になってしまう。
これは違うと思うんです。
チョコをあげることだけが愛じゃありませんよね。
心を鬼にして、子どもの事を思ってチョコをあげない時もあります。
でも愛着障害の子どもは、
「自分が望んだ時に、望んだ分チョコをもらえることだけが愛だ」
と思っています。
だから、チョコをもらう為にあの手この手を使います。
もらってももらっても、満たされる事を知らず、もっとちょーだい現象が起きます。
満たされる事を知らないなんて、そんな不幸なことはありません。
相手の要求がわかっても、すぐに応じない事です。
つまり「お母さんも大好き」を言わないんです。
大好き!くらい、親子なら当然言いますよ。言ってあげればいいのに。
と思われるかもしれません。
私も彼を知る前までは、要求にはなるべく応えてあげようと思っていました。
正確には、彼に求められた時ではなく、こちらのタイミングで、Rくんが安心できる言葉をかけます。
これが主導権を握ることになります。
かわいいね。大好き。来てくれて良かった。ずっとここにいてね。
不安がなくなるプラスの言葉です。
後手に回らない。こちらが主導権を握ることが大事だと、以前読んだ愛着障害児との関わり方の本に書いていました。
実子を育てる時に、後手やなんやと考える必要はなかったけど
普通の子育てとはやっぱり違います。
先手必勝、この関わり方を掴んだのは良かったと思っています。
あれこれ姑息なこと(笑)をしなくても、安心できる言葉をかけてもらえるんだとわかると、自然と誘導しなくなりました。
そして、安心できる言葉が聞けると、だんだん愛着関係ができ、親が心を鬼にして要求に応えないこともあるんだということも、わかってくれるようになります。
本で得た知識と、Rくんを観察して導き出した、我が家でのやり方です。
しかしながら、日々の試し行動や問題行動に疲弊していると、里子の安定のために必要な言葉はわかっていても、かけてあげられない時もあります。
そんな時は、無理をしなくて良いと思います。
できる時に、できる事を、できるように。
よろしければお試しくださいませ♪
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