昨今、児童虐待防止や新しい社会的養育ビジョンなどを考えるうえで、「子どもアドボカシー」という言葉が大きく注目されています。
子どもアドボカシーに興味がある方に向けて、子どもアドボカシーの意味や概要、必要性などの情報をまとめました。
アドボカシー(英語:advocacy)とは、ラテン語に由来する言葉であり「声を上げる(voco)」ことを意味します。つまり、子どもアドボカシーとは、子どもが声を上げることをサポートする活動のことです。
子どもアドボカシーを実施する人はアドボケイト(擁護者)と呼ばれており、子どものために声を上げる活動を行うことから、「子どもの声そのもの」としての役割を担います。
昨今の日本では、「子どもの声を十分に聴いて対応を行わなかったために、命を救えなかった」という事件(事案)の発生が問題視されており、再発の防止が叫ばれています。
その一方で、児童虐待の相談対応件数が急激に増加しており、児童福祉司1人あたりの対応件数が増えているため、子ども1人ひとりの声を聴くことが困難になっている状況です。
また、子ども側からすると、自身の感情や思考が抑圧された経験や、「過去に相談したけれど何も変わらなかった」という思いのために、声を上げにくい状況にあることがわかっています。
こうした状況を受けて、子どもアドボカシーは以下の6つの原則を掲げて、心の扉を開きながら子どもが声を上げることをサポートしています。
1.エンパワメント(子どもに自信を与えること、力を付けてあげること)
2.子ども主導(子どものリクエストに応じて動くこと)
3.独立性(利害関係のない状況で行うこと)
4.秘密を守る
5.機会の平等
6.子どもの参加
子どもアドボカシーは、子ども本人を中心として、それを以下の4つの立場が取り囲む構造を作るのが大切であると考えられています。
・フォーマルアドボカシー(教師・福祉職員・心理士)
・ピアアドボカシー(友人・同じ背景を持つ人)
・インフォーマルアドボカシー(親・養育者・近所の人)
・独立/専門アドボカシー(専門のアドボケイトなど)
子どもアドボカシーは、子どもの親や養育者などの当事者だけでなく、第三者も行う必要があると言われています。第三者が子どもアドボカシーを行うべき理由は、専門職として(また養育者として)、子どもの気持ちに反すること(例:「注射はイヤだ」)もしなければならない状況があるためです。
また、子ども側からすると、自身と利害関係が強い立場の人には本音を話しにくいと感じる傾向があります。加えて、相手を傷つけたり、関係をぎくしゃくさせたりしたくないという気持ちが働いて、本音を伝えることが難しくなることがあります。
さらには、話す相手や置かれた環境によっても、子どもの伝えたいことが変化する場合があります。たとえ相反する声が上がったとしても、どちらも本当の声であることから、4つの立場がそれぞれ補完し合いながら、子どもの声を聴くことが大切です。
参考:11月23日オンライン里親会セミナー講演会 川瀬信一氏 「子どもの声からはじめよう ー里親家庭経験者の声と子どもアドボカシー」
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