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子どものトラウマとその対処法②|女性への暴力・家庭内DVは子どもの発達にも影響を与える

最終更新日2022.01.25 公開日2022.01.25

DVが起きている家庭では、子どもに対する暴力が行われている場合があります。実に、DV被害を受けている子どもがいる女性の約3割が、子どもへの被害経験を認識しているという報告も上げられています。この記事では、子ども虐待と密接な関係にある家庭内DVの現状と、DVが与える子どもへの影響、DV家庭から引き取られた里子の実例をご紹介します。

ドメスティック・バイオレンス(DV)とは

「ドメスティック・バイオレンス」とは、直訳すると「domestic=家庭内」「violence=暴力」となり、家庭内の様々な暴力のこと。配偶者間での暴力のほか、親から子、子から親、きょうだい間の暴力も含まれますが、最近では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」を指すことが多いです。略して「DV」と呼ばれることもあります。

 

「DV」には、殴る・蹴るなどの身体的暴力だけでなく、様々な形態があります。

 

 身体的暴力

 ・平手でうつ

 ・げんこつでなぐる 強くゆする、足でける

 ・髪をひっぱる

 ・首をしめる

 ・物をなげつける

 ・腕を強く掴む

 

 精神的暴力

 ・大声でどなる

 ・何を言っても無視して口をきかない

 ・人の前でバカにしたり、 命令するような口調でものを言ったりする

 ・子どもに危害を加えると言っておどす

 ・実家や友人とつきあうのを制限する

 

 性的暴力

 ・性行為を強要する

 ・避妊に協力しない

 ・無理矢理アダルトビデオ等を見せる

 

 経済的暴力

 ・生活費を渡さない

 ・勝手に借金を作り、返済を強制する

 

女性に対する暴力の現状

以下の表は、地域に設けられた配偶者暴力相談支援センターと、電話やチャット、メールで相談を受け付けている「DV相談プラス」に寄せられた相談件数の推移です。

引用元:内閣府男女共同参画局資料『女性に対する暴力の現状と課題』

 

DV相談件数の推移を見ると、4月から「DV相談プラス」がスタートした2020年度の相談件数は19万0,030件と、2019年の約1.6倍になっています。

 

『令和2年度後期「DV相談+(プラス)事業における相談支援の分析に係る調査研究事業」報告書』によると、18,745件寄せられた相談内容の内、「精神的DV」が59.4%(11,138件)と最も多く、次いで「身体的DV」が29.9%(5,606件)となっています。

 

また、無作為に選ばれた全国20歳以上の男女5,000人を対象に実施された、内閣府『男女間における暴力に関する調査』(令和3年3月発表)によると、女性の約4人に1人は配偶者からの暴力の被害経験があり、約10人に1人は何度も受けているという事実が浮かび上がってきました。

 

DVと子ども虐待の関係

DVが起きている家庭では、子どもに対する虐待が同時に発生する場合があります。内閣府『男女間における暴力の調査』(令和3年3月発表)によると、配偶者からの暴力を受けている女性のうち、子どものいる被害女性では、約3割が子どもの被害も認識しています。

引用元:内閣府男女共同参画局資料『女性に対する暴力の現状と課題』

 

子どもの被害のうち、最も多い「心理的虐待」には、「面前DV」(子どもの見ている前で、夫婦間で暴力をふるうこと)も含まれます。

 

子どもは様々な経験を重ねる中で成長していきます。その際に大切になってくるのが、養育者との安全な関係や安心して過ごせる場所です。しかし、DVが行われている家庭は、暴力や精神的緊張があり、安全基地として機能しません。「面前DV」はもちろん、子どものいない所で暴力がふるわれている場合でも、家庭内の緊張感や被害親の恐怖や不安は子どもに伝わります。

 

参考資料:

引用元:DVとは (内間府男女共同参画局)

面前DVがある家庭から引き取られた里子の事例

児童相談所から2歳過ぎの女の子Aちゃんを委託されたSさんご夫妻の事例を紹介します。

 

Aちゃんは、父親のDVが原因で両親が離婚し、実母と暮らしていました。しかし、実母がアルコール依存症で入院。受け入れる親族もいなかったため、Sさんご夫妻に委託されました。

 

委託されてからも、いつも何かにおびえる様子が見られたAちゃん。特に男性を怖がり、最初の内は里父が近づくだけで泣いていたそうです。また、就寝時の夜泣きと夜驚(夜に夢などでおびえる)も毎晩ありました。その様子を見て、Sさんご夫妻は「怖い思いをしてきたのかも」と感じたといいます。

 

この後、Sさんご夫妻のスキンシップをベースにした受け止めのおかげで、数ヶ月後には夜泣きと夜驚はなくなり、3歳になる頃には夢を見ながら笑うなど、安心して眠る様子が見られるようになったそうです。

 

この事例では、Aちゃんへの明らかな虐待は確認されていなかったそうです。しかし、Aちゃんの様子からは、「自分が暴力を受けなくても、母親が父親から暴力を受けている姿を日常的に見るだけで、子どもの心は大きく傷つけられる」ということが感じられるのではないでしょうか。

 

里親として、子どもの様子や行動に何かおかしいと感じることがあれば、現在の生活を改めて振り返るだけでなく、委託前に子どもがどのように暮らしてきたかを、関係職員に再度確認してみることをおすすめします。

 

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