子どものトラウマとその対処法➂-3|トラウマ体験が子どもに与える影響 ①感情面・認知面・行動面 子どものトラウマとその対処法➂-3|トラウマ体験が子どもに与える影響 ①感情面・認知面・行動面

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子どものトラウマとその対処法➂-3|トラウマ体験が子どもに与える影響 ①感情面・認知面・行動面

最終更新日2022.01.25 公開日2022.01.25

友達とトラブルを頻繁に起こしたり、感情のコントロールが出来なかったりするなど、預かった子どもに問題行動が見られる場合もあります。その問題行動の引き金となっているのが、虐待などの過酷な体験によって生じた心の傷「トラウマ」である場合も少なくありません。今回は、「トラウマ体験が子どもに与える影響」について紹介します。

トラウマ体験が子どもに与える影響『感情面』

①安全感・信頼感の喪失

トラウマ体験、特に虐待は、子どもにとって不当で理不尽な出来事です。しかも、虐待は子どもの世界で大きな割合を占める家庭内で起こります。子どもは家庭で起きたことを元に世界観を形成していくので、家庭内で傷つけられる経験を重ねることは、子どもの安全感を著しく損ない、想像以上に子どもに強い恐怖の感情や不安を引き起こします。結果として、子どもは、周囲の人たちや世の中全体に対する信頼感を失い、怒りや抑うつなどの感情をもつようになります。

 

②感情をコントロールする力とストレス耐性が低くなる

幼い子どもは自分の感情を認知できません。大人が子どもの様子を見て共鳴し、言葉を与えて行くことで、子どもは自分の感情の動きに気付けるようになります。子どもは感情と行動の仕方を二者関係の中で学んで行きます。しかし、虐待などで、子どもの感情が周囲から共感されずに放置されると、感情を適切に制御する自己調節機能がうまく発達しません。このため、トラウマを体験した子どもは、感情が移り変わりやすく、ほんの些細なストレスや否定的な感情に耐えられず、暴発させてしまうようになります。

 

③感情の麻痺と解離

怒りや抑うつの感情があまりにも強く、子どもが耐えられる閾値を越えてしまった場合には、感情が麻痺してしまい、周囲が気づくことはさらに難しくなります。これらは、さまざまな解離症状に発展することもあります。

トラウマ体験が子どもに与える影響『認知面』

トラウマ体験は、周囲の人たちや世の中全体についての認知を歪めてしまいます。

 

①極端な自己否定感を持つようになりがち

子どもは、不当で理不尽な出来事がなぜ起こったのかという理由を捜そうとします。しかし、当然のことながら、正当な理由は見つかりません。このような場合、「自分が悪かったからだ」と考える方が子どもにとっては簡単です。自責の念を抱いたり、「自分が恥ずかしい存在だからだ」というような自分を否定的に捉えたりする傾向は、トラウマを体験した子どもたちに最もよく認められるものです。

 

②自尊感情の低下

トラウマを体験した子どもは、自責感や恥の感情を抱くようになった結果、低い自尊感情しか持てなくなります。また、周囲の人たちとの愛着関係や、信頼関係を構築する際にも、さまざまな障害を引き起こします。

 

③過度の無力感と意欲の低下

一方、「自分は無力だ」というような自己否定感を発達させた子どもは、学習やその他の課題を遂行する際に不十分な結果しか出せず、さらに意欲を喪失してしまうこともあります。また生活全体の活動性が著しく低下し、乳児や幼児の場合、食事を取らなくなる場合も見受けられます。

トラウマ体験が子どもに与える影響『行動面』

子どもは、大人より感情を言葉で表現する能力が育っていないため、トラウマ体験の影響が様々な身体症状や行動として現れやすいという特徴があります。

 

①イライラして衝動的になる・多動が目立つ

著しい恐怖や不安を感じる環境の中で育ってきた子どもは、トラウマの原因となった出来事が起こらないような状況においても、必要以上に警戒的となり、周囲の人の些細なしぐさや行為に敏感に反応するようになります。このような状態が続くと、子どもは注意が散漫になり、イライラして衝動的になったり、眠れなくなったりします。

 

②反抗・攻撃的な行動やかんしゃくを起こしやすくなる

不当な出来事に対する怒りの感情は、反抗的な行動、突然のかんしゃくや激怒、暴力行為などとして現れてきます。これらの行動は、トラウマの原因となった出来事とはまったく関係のない状況下や、危害を及ぼす恐れのない相手に対しても起きることもあるため、子ども自身が選んで行った問題行動として間違えられることも少なくありません。

 

③自傷行為や違法薬物の使用など、反社会的行動を起こしやすくなる

抑うつは子どもの自己評価を低下させ、新たな対人関係上の傷付きを生みやすくしてしまいます。さらには、トラウマを体験した子どもを、自傷行為や自殺企図、違法薬物の使用、危険な性的行動などに駆り立ててしまうこともあります。

参考資料

国立成育医療研究センター(2011)『子どものトラウマ診療ガイドライン

文部科学省『在外教育施設安全対策資料【心のケア編】第2章 心のケア各論

白川美也子(2020)『子どものトラウマがよくわかる本』(講談社)

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