里親が抱える最も大きな悩みのひとつである真実告知。
いつ伝えようかと悩まれている里親家庭も多いと思います。
真実告知のタイミングのひとつとして、先輩里親から挙がるのが”幼稚園・保育園の卒園”。
卒園証書などの公文書には、基本的に戸籍名が記載されます。このような里子が実名に触れる機会は、真実告知を行うのによいきっかけとなります。以下では、真実告知について先輩里親の声を交えつつ、お伝えします。
いつ・どのようなタイミングで、どんな風に伝えるか。
残念ながら、どの家庭にも完璧に当てはまる正解はありません。
ただ、ひとつの目安として、
「言葉が分かるようになるぐらいから思春期に入る前までに」
「年齢に応じて、分かるように何度も」
「里子と里親が落ち着いている時を見計らって」
伝えるのがよいと言われています。
伝えるタイミングについては、どの先輩里親も夫婦でしっかりと話し合って決めているようです。
“告知を行ったのは幼稚園の年長、なるべく告知後にトーマスの様子や変化・心のケアーが
出来る様にと考えて、長い夏休み中が良いと決めました。トーマス 5 歳 8 か月の事です。
(四つ葉のクローバーさん)”
▶NPO法人ぽけっとパーク『真実告知体験談 ケース№9』
告知のタイミングを見計らっていたものの、なかなかタイミングが掴めないご家庭も多いようです。
”小学校入学前に最初に話そうと決めてはいました。養子縁組をした子どものことを扱った絵本なども用意して、心の準備をしていました。けれどなかなか勇気が出ずにずるずると日が過ぎていきました。結局、話すことができたのは入学式前日でした。
(養子縁組里親の高橋さん・仮名)”
▶奈良市・里親支援ミニコラム「里親家庭におじゃまします!第6回」
日常の会話の流れで、スムーズに告知ができたというある先輩里親は「他の先輩里親の体験談から、今の年齢がチャンスだと思っていたからこそ、告知できた」と話します。家庭によりタイミングは違うとは言え、やはり先輩里親の体験談はとても参考になると思います。
先程紹介したNPO法人ぽけっとパーク『真実告知体験談』には、たくさんの体験談が紹介されています。ぜひ参考にしてください。
また、オンライン里親会では、里親家庭だけが参加できる『里親サロン』を開設しています。真実告知で悩んだら、『里親サロン』で相談してみてください。先輩里親のみなさんからアドバイスがもらえますよ。
小さな子の場合、絵本を使って真実告知を行うのもオススメです。
『ねぇねぇ、もういちどききたいな わたしがうまれたよるのこと』
ジェイミー・リー・カーティス 作
ローラ・コーネル 絵
坂上香 訳
真実告知の苦しみは、育ての親にとって産みの苦しみとも言われます。しかし、里子には出自を知る権利がありますし、例え、特別養子縁組手続きを行った家庭でも、戸籍謄本を見れば縁組が成立した日付等が記載されるので、養子という事実は分かります。育ての親であることはいつかは分かることで、隠し通すことは不可能である以上、真実告知は、里親家庭にとって避けては通れない大切な過程なのです。
日本財団が実施した養子縁組調査で、「真実告知の年齢が若い方が(お子さんが小さいうち)幸福度が高く、父母が育ての親である(血のつながりはない)ことを知ってよかったと回答する傾向がある」ことが分かりました。
また少し前の資料になりますが、大阪・神戸で活動する家庭養護促進協会による「成人里子の生活と意識調査」(1984年)では、真実告知について、「すべての子どもたちは、知らされて『良かった』と思っていた」という結果も出ています。
『養子縁組をした762人のこえ』には、「生い立ちを知っても幸せだ」という子ども達の声がたくさん寄せられています。大人が思うより、子ども達は事実を受け止め、それを乗り越えていく力を持っています。真実告知に誠実に向かい合うことで、親子の絆も深まるのではないでしょうか。
以下の記事では、特別養子縁組で近藤家に迎えられた愛さんが、里子の立場からの真実告知について、インタビューに応えられています。
『生みの親にも育ての親にも「ありがとう」と伝えたい。特別養子縁組を結んだ家族と暮らしてきた近藤愛さん』
里親として読んでおきたい記事ですので、ぜひチェックしてみてください。
参考資料:
日本財団ハッピーゆりかごプロジェクト『養子縁組をした762人のこえ』
社団法人家庭養護促進協会『里親が知っておきたい36の知識』
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