「暴れる」「モノを壊す」「部屋を散らかしたまま片付けない」などの里子の行動によって悩まされている里親は少なくありません。こうした里親をわざと困らせるような行動の原因には、愛着障害があるかもしれません。
そこで今回は、里親になることを検討するにあたって知っておくべき、「愛着障害」の定義や特徴、対処方法などを中心にまとめました。
愛着障害(別名:アタッチメント障害)とは、何らかの理由が生じることで養育者との愛着が形成されず、子どもの情緒や対人関係などに問題が生じている状態のことです。心理学用語であり、医学・心理学でさまざまな定義・考え方があることから、用語の使用方法については正確なコンセンサスは存在しないのが現状です。
そもそも愛着とは、イギリスの精神科医「ボウルビィ」が提唱した概念であり、「慣れ親しんだ物事に深く心を引かれ、離れがたく感じる」ことです。
この場合は物・場所などに対して愛着の言葉を使用しているものの、人と人の間の心理的な絆に対しても愛着の言葉は使用されます。
心理学における愛着とは、他人や動物などに対して築く特別な情緒的な結びつき(とりわけ幼児期までの子どもと親・保育者との間に形成される関係を中心とした情緒的な結びつき)のことです。
例えば、生まれて間もない赤ちゃんは、お母さんに抱っこしてもらったり、ミルクを飲ませてもらったりといったことを通じて、お母さんとの間で愛着をさらに深めていきます。このように密接な関係を築いていくことで、赤ちゃんは情緒豊かにのびのびと育っていくようになるのです。
子どもの成長における愛着の重要性は、大まかに分けて以下の3つがあります。
子どもは、養育者との間に愛着を築くと、その人に甘えて依存するようになります。また、その養育者に対して、「自身の要求を伝える」「相手の要求を受け入れる」ことを通じて、子どもは自身が求めていることを表現することの楽しさ・難しさなどを知るのです。さらに、不安や危機を感じた際には、その養育者を「安全基地」とみなし、自身の身を守ろうとします。
医学的に定義される愛着障害は、その範囲が非常に限定的であり、子どもが対象とされており、5歳以前に発症すると報告されています。具体的にいうと、「反応性愛着障害」と「脱抑制性型対人交流障害」の2種類に分けられます。
これらは、それぞれWHOの診断ガイドラインである「ICD-10」と、アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」によって診断基準が定められている障害です。
まず、反応性愛着障害の子どもに見られる主な特徴は、以下のとおりです。
続いて、脱抑制型愛着障害の子どもに見られる主な特徴を以下にまとめました。
中には、暴力的かつ衝動的なふるまいを見せるケースもあります。なお、間違われやすい障害としては、注意欠如・多動症(ADHD)などが挙げられます。
子どもに愛着障害が見られたら、まずは安全基地を形成することが大切です。子どもが特定の養育者に対して、安心感・信頼感を抱ける対象になるようサポートします。このサポートは、子どもだけではなく養育者や子どもの家族を含めてアプローチすることが大切です。
例えば、養育者が虐待をしている場合は子どもを保護したり、経済的に苦しい家庭状況で子どもと向き合えない養育者であれば、行政・民間が協力して育児・家事をサポートする体制を整えたりといった対処法が検討されます。
愛着障害を起こす原因をいかに無くしていくのか、その方法を考えてアプローチしていくことで、子どもの愛着障害の改善につなげられます。
もしも悩んでいるならば、まず医療機関に相談することが大切です。精神科・心療内科・カウンセリング機関のみならず、まずはかかりつけの内科でもいいので相談してみると良いでしょう。
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