里子の大学進学|返済不要の奨学金『高等教育の就学支援新制度』 里子の大学進学|返済不要の奨学金『高等教育の就学支援新制度』

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里子の大学進学|返済不要の奨学金『高等教育の就学支援新制度』

最終更新日2022.04.14 公開日2022.04.14

住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生を対象にした、『高等教育の修学支援新制度』が2020年4月から始まりました。この制度では、経済的な理由で、大学・短大・高等専門学校・専門学校等へ進学することや学び続けることをあきらめなくてよいように、学費と生活費のダブルのサポートが受けられます。


この新制度を始め、里子が「大学等へ進学したい」と教えてくれた時に、知っておきたい支援の数々を、この記事では紹介します。

『高等教育の就学支援新制度』とは

この制度の大きな特徴は2つあります。

1つ目が「進学資金の援助は返す必要がない」

2つ目が「現在の成績より、進学先で学ぶ意欲があることを重要視」

です。


まず、1つめの資金面での援助について見ていきましょう。

社会的養護下にある里親家庭の子ども達のためには、以下の学費・生活費の支給があります。


授業料等減免の上限額(年額)

国公立

私立

入学金

授業料

入学金

授業料

大学

約28万円

約54万円

約26万円

約70万円

短期大学

約17万円

約39万円

約25万円

約62万円

高等専門学校

約8万円

約23万円

約13万円

約70万円

専門学校

約7万円

約17万円

約16万円

約59万円


※夜間部や通信課程の場合、減免額が異なります。

給付型奨学金の支給額

居住費用の支援が

必要ない者

本人が居住費を

負担している場合

月額

参考年額

月額

参考年額

大学

短大

専門学校

国公立

33,300円

約40万円

66,700円

約80万円

私立

42,500円

約51万円

75,800円

約91万円

高等専門

学校

国公立

25,800円

約31万円

34,200円

約41万円

私立

35,000円

約42万円

43,300円

約52万円

※大学等進学後も里親家庭から通学する場合は「居住費用の支援が必要ない者」になります。

※通信課程の場合は、上表に関わらず、年額51,000円となります

この金額だけで充分とは言いがたいですが、心強い金額ではありますね。


なお、新制度では、各大学等や自治体、民間団体等による奨学金などの支援と併用することは制限されていません。ただ、他の各支援事業の実施主体において、新制度との併用を制限している場合があります。詳しくは各支援事業の実施主体に確認してください。


なお、他法令に基づき職業訓練として大学等に通学するための給付支援を受ける場合には給付型奨学金は支給されませんので、注意が必要です。

里子が新制度を利用するため要件とは?

新制度を利用するためにはいくつかの要件があります。

●所得の要件
要項には、「本人の所得・資産のみで判定し、低所得であれば、支援対象となります」とあります。では、低所得とはどの程度の額となるのでしょうか? 額面200万円がひとつの目安となります。本人の年収が額面で200万円を超えるような場合は、上表の額の支援が受けられない場合があります。

●学業成績・学修意欲の要件

高校3年生で予約申請する場合、以下の要件が必要となります。

①高校2年までの評定平均値3.5以上+高校の進路指導等において学修意欲を見る

②同 3.5未満+高校等でレポート又は面談で学修意欲を確認


この学修意欲には、進学目的や将来の人生設計も含まれています。

高卒認定試験を経て大学等へ進学しようとする学生については、高卒認定試験の受験・合格をもって、学修意欲があるものとみなされます。


手続きの方法は?

手続きの方法は?

給付型奨学金は、進学する前年の4月下旬から、高校などを通じて日本学生支援機構(JASSO)へ申し込むことができます。

詳しい申し込み手続きは以下のサイトで確認できます。


日本学生支援機構『申込手続きについて(予約採用)


また大学等へ進学後も申し込むことができます。詳細は以下のサイトで確認できます。

日本学生支援機構『進学後に申し込む(在学採用)


授業料等の減免は、入学時に進学先の大学等に申し込みます。

新制度を利用するにあたって、里親が気をつけておきたいこと

今回の新制度では成績よりもやる気が重視されます。これまで大学等へ進学を考えたことがなく、成績がふるわなかった子どもでも、意欲と努力次第で対象となります。今一度、里子と将来について話し合う機会を設けることが大切となってきます。


また新制度の目的は、支援を受けた学生が大学等でしっかり学んだ上で、社会で自立し、活躍できるようになることです。従って、進学後には、出席率や修得単位数について厳しい要件が課されます。里子にはアルバイトとの両立が必要となる子どもも多く、学業がおろそかになってしまう可能性もあります。里親として無理のない範囲でフォローしてあげられると良いと思います。

他の公的な奨学金制度

給付ではなく、貸与(返済が必要)となりますが、公的な支援では以下の制度があります。

・日本学生支援機構『第一種奨学金・第二種奨学金

区分

貸与月額

自宅通学者

自宅外通学者

第一種

(無利子)

大学

国公立

2万・3万

4万5千円

2万・3万・4万

5万1千円

私立

2万・3万・4万

5万4千円

2万・3万・4万

5万・6万4千円

短期大学

専修学校
(専門課程)

国公立

2万・3万

4万5千円

2万・3万・4万

5万1千円

私立

2万・3万・4万

5万3千円

2万・3万・4万

5万・6万円

第二種

(有利子)

大学

短期大学

専修学校

(専門課程)

2万円から12万円までの1万円刻み

※基本月額12万円を選択した場合に限り、希望により、私立大学医学・歯学過程は4万円、薬学・獣医学課程は2万円の増額が認められます


 

第一種は、無利子のため学力面での要件が厳しく(評定平均3.5以上)設定されています。ただし、里親による養育を受けている学生の場合、「特定の分野において、特に優れた資質能力を有し、特に優れた学習成績を修める見込みがあること」もしくは「学修に意欲があり、特に優れた学習成績を修める見込みがあること」のどちらかに該当すれば、評定平均が3.5未満であっても、学力基準を満たす学生として取り扱われます。


『高等教育の就学支援新制度』の給付型奨学金との併用、また第一種と第二種との併用も可能です。第一種奨学金に限り、給付型奨学金との併用は、第一種奨学金の上限額が変更となる場合があります。

・都道府県社会福祉協議会『生活福祉資金貸付制度(教育支援資金)』

①教育支援費

大学:月額65,000円以内

短大等:月額60,000円以内

※特に必要と認める場合は、上記上限額の1.5倍まで貸付可


②就学支度費 50万円以内


貸付決定時に定めた返済期間内においては、無利子。新制度との併用も可能です。

詳細は以下の資料が分かりやすいです。

東京都区市町村社会福祉協議会『教育支援資金のご案内

 

利用にあたっては、お住まいの市区町村社会福祉協議会へご相談ください。


まとめ

『高等教育の就学支援新制度』は大学等に在学中でも申し込めるのが大きな特長のひとつです。そもそもこの制度を知らないまま進学していたり、里子をとり巻く環境や状況が変わり、学校に通い続けるのが難しくなりそうなときなどにも、ぜひ活用を検討してみてください。今、里子が通っている学校が対象かどうかや受付期間は学校によって異なるので、学校の学生課や奨学金窓口などに確認してください。


また、進路が決まっていない里子の場合でも、非常に充実した制度ですのでとりあえず申し込んでおくことをオススメします。


参考資料:

文部科学省『高等教育の就学支援新制度について

政府広報オンライン『高等教育の就学支援新制度

日本学生支援機構『奨学金について

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