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インクルーシブ保育とは?インクルージョン教育との違い・メリットや課題を解説

最終更新日2025.03.07 公開日2025.03.07

インクルーシブ保育は、最近社会に広まりつつある多様性を尊重する保育のアプローチです。
 
この保育方法は、障害の有無にかかわらずすべての子どもが一緒に育つ環境を提供しますが、
その具体的な内容について詳しく知らない人も多いでしょう。

 

国は、保育所などが様々なニーズに応じられるように多機能化を進めており、
インクルーシブ保育もその一環として注目されています。
以前は障害を持つ子どもの集団保育が難しいと考えられていましたが、
最近の省令改正により運用がしやすくなりました。

 

本記事では、インクルーシブ保育の概要やメリット・直面する課題について
分かりやすく解説します。
この保育に興味がある方は、ぜひこの内容を参考にしてください。

インクルーシブ保育とは

「インクルーシブ」という言葉は、英語で「包括的な」という意味を持ちます。
 
この考え方に基づくインクルーシブ保育は、子どもたちの年齢、国籍、障害の有無に関わらず、
様々な背景を持つ子どもたち全員を同じ空間で受け入れる保育です。
この保育形態では、全ての子どもが個別の必要に応じたサポートを受けつつ、
共に成長する環境が提供されます。


以前は、障害の有無に基づいて保育室を分けることが普通でしたし、
障害のある子どもたちには特別な施設や支援が必要だとされていました。
 
しかし、2010年に文部科学省が「インクルーシブ教育理念」の推進方針を発表し、
具体的な改善策を提案したことにより、
教育現場に限らず保育の分野でもインクルーシブなアプローチが広く受け入れられるようになりました。

 

2013年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が制定され、
これを受けて2016年からインクルーシブ教育の導入が本格化しました。
そして、保育施設にも影響を与え、2023年からはインクルーシブ保育を前提とした新たな省令が施行されています。

 

厚生労働省は、児童発達支援事業所等との併設や交流に関する留意事項を提供しており、
これにより保育施設におけるインクルーシブ保育への理解と実施が進められています。
この取り組みは、すべての子どもが共に学び育つ環境を推進するためのものです。

 

この流れを経て、障害を持つ子どもたちを特別扱いせず、各子どもの個性と違いを認め、
多様性を受け入れる考え方が広まりました。
 
この考え方は、すべての子どもを大切な存在として受け止め、
それぞれのニーズに応じた支援を提供することを目指しています。

インクルージョン教育、インテグレーション教育との違い

インクルージョン教育、インテグレーション教育との違い

インテグレーション教育、または統合教育は、障害を持つ子どもたちを通常の学級に迎え入れて共通の環境で教育を行うことを目指します。
このアプローチはすべての子どもが同じ教育環境で学ぶことを重視しましたが、
結果として個別のニーズに合わせた十分なサポートが提供されないこと
しばしば問題とされました。
  

インクルージョン教育は、インテグレーション教育を発展させた教育形態です。
この教育は、障害の有無にかかわらず全ての子どもの個性と特性を理解し、
それに基づいたサポートを提供することに重点を置いています。

 

この考え方をさらに推し進め、
2010年に文部科学省が「インクルーシブ教育システム構築事業」を始動しました。
このプロジェクトは、インクルージョン教育の課題に対処し、
より包括的な「インクルーシブ教育」へと進化させるための取り組み
でした。

インクルーシブ保育のメリット

社会では多様な人々と共に生活することが一般的です。
この環境には様々な年齢、国籍、障害を持つ人々が含まれます。
 
保育園で早期に異なる背景を持つ人々と触れ合い、
互いの違いを理解し接する方法を学ぶことは、子どもたちが将来、
多様な社会で共生するための重要な基盤となります。
 
インクルーシブ保育では、個々の違いを受け入れることが強調され、
自発的な行動が促されます。
これにより、どんな立場の子どもも自分の個性を伸ばしやすい環境が育まれます。

インクルーシブ保育は保育士にも利点があります。
この保育方法では、障がいに関する専門的な知識が求められることがありますが、
それによって保育士は多様な状況に対応するスキルを磨くことができます。
個性がぶつかり合うことでトラブルが発生しやすくなるかもしれませんが、
それも経験としてスキル向上の機会となります。
 
このように、日々の挑戦が保育士としての成長を促し、専門知識や対人スキルが自然と向上します。

インクルーシブ保育の課題

インクルーシブ保育において、多様性を尊重することは重要ですが、
子どもたちの中には「他の子たちのようにできない」と感じ、劣等感を抱く場合もあります。
 
こうした感情に対処するためには、まず子どもたちが自己を受け入れ、
自尊心を育むことが必要です。
 
教育者は、各子どもの個性を認めつつも、
彼らが自信を持てるよう支援する方法を考え続ける必要があります。
このようなアプローチが、子どもたちが健全に成長するための基盤となります。

 

インクルーシブ保育においては、保護者の理解と協力も大切です。
保育園側は、マイノリティへの配慮が「特別扱い」と見なされることなく、
通常の保育活動への支障と誤解されることがないよう、しっかりと説明する必要があります。
これにより、保育士たちにはさらに広範な知識とスキルが要求され、
多様性への対応や継続的な学習が彼らの負担を増やすことにもなります。
これらの課題に対処するためには、保育園全体で協力し、教育の質を高めることが重要です。

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