スクールロイヤーとは、学校で発生する様々な問題に対して相談を受けたり、法的知識を用いて解決を図ったりする弁護士のことです。
2020年度から、各都道府県や政令指定都市などにスクールロイヤーを配置するための地方財政措置が講じられました。すべての学校に配置されているわけではありませんが、全国各地でこの取り組みが進められています。
この記事では、スクールロイヤーの役割や重要性、そして相談する方法について解説します。
スクールロイヤーは、学校内で発生するさまざまな問題に対応するための弁護士です。2020年度から、都道府県や指定都市の教育委員会が弁護士に相談する際の費用は地方交付税で賄われるようになりました。
スクールロイヤーは、いじめや不登校、保護者対応、体罰など、幅広い問題に対処することが期待されています。
日本弁護士連合会は「スクールロイヤーの整備を求める意見書」の中で、「学校で発生するさまざまな問題に対し、法的観点から継続的に助言を行う弁護士」の活用を提言しています。
学校での問題解決に法務の専門家が求められるようになり、スクールロイヤーの必要性が高まっています。その背景には、いくつかの要因があります。
まず、養育環境の不適切さが挙げられます。虐待や貧困など複雑な家庭環境の子どもが増え、核家族やひとり親家庭も多くなり、これが子どもたちの学校生活に悪影響を及ぼしています。このような環境で育った子どもは学校でトラブルを起こすことが多くなります。
次に、子育てや遊びの環境の変化があります。共働き家庭や一人っ子が増え、家庭内での教育や遊びの中での学びが減少しています。また、インターネットやオンラインゲーム、SNSの利用が普及し、保護者が気づかないところで問題が発生することが増えています。
さらに、地域とのつながりの薄れが指摘されています。特に都市部では近隣住民や地域との関係が希薄になり、地域全体で子どもを育てるという環境が少なくなっています。これにより、学びの機会は学校教育に依存することが多くなり、学校の負担が増加しています。
最後に、保護者の学校に対する意識の変化です。モンスターペアレンツという言葉が示すように、過度な期待や無理な要望をする保護者が増え、教員はその対応に追われることが多くなっています。このような保護者の存在により、学校でのトラブルも増加傾向にあります。
以上の理由から、学校での法的問題解決にスクールロイヤーが求められるようになっています。
スクールロイヤーは、子どもの最善の利益を考慮し、法的な観点から学校に助言を提供する弁護士です。
多くのスクールロイヤーは、普段は法律事務所で弁護士としての通常業務を行っていますが、学校から相談があった際にはアドバイザーとしての役割を果たします。学校や教育委員会が対応に困る問題や、法的な知識が必要な場合に、スクールロイヤーが相談を受けて対応するのです。
スクールロイヤーが対応する主な業務は、以下のとおりです。
業務内容 | 補足 |
助言・アドバイザー業務 | 学校関係者に対し、法的なアドバイスを提供し、問題が深刻化するのを防ぎます。例えば、いじめ防止対策推進法に基づいて「いじめ」に該当するかどうかの判断や、学校事故が発生した際の適切な対応について助言します。 |
代理・保護者との面談への同席、代理 | 保護者が過度な要求を繰り返したり、学校や教育委員会に対して脅迫行為を行ったりする場合、スクールロイヤーが学校や教育委員会の代理人として直接保護者と対応します。 |
研修業務 | 教育現場で必要とされる法律知識やスキルについて、教員や教育委員会に対して研修を実施します。 |
出張授業 | 各学校に出張し、子どもたちに法教育、いじめ予防、消費者教育、労働法教育などの授業を行います。 |
スクールロイヤーの利用が広がりつつある一方で、以下のような課題も存在します。
・スクールロイヤーが学校側の代理人として活動することの適否に関する見解の違い
・スクールロイヤーの活用事例がまだ少なく、どのような場面で活用できるのか、また、学校現場に適した制度設計が明確でない
今後、スクールロイヤーの活用をさらに進めるためには、これらの課題を解決していくことが必要です。
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