「うきこぼれ」は、近年教育現場でよく使われるようになった言葉です。
これは、
高い知能を持つにもかかわらず学校に適応できない、
他の子どもたちとうまく関係を築けない子どもたちに見られる現象
です。
こうした子どもたちは、学校がつまらないと感じることが多く
、いわゆる「落ちこぼれ」ではなく「うきこぼれ」として感じることがあり、不登校になるケースも見られます。
本記事では、
うきこぼれという言葉の意味やギフテッドとの違い、
我が子がうきこぼれになったときの対応方法
を中心に解説します。
高い学力や旺盛な学習意欲を持つ児童・生徒は、通常の学校の授業に対して物足りなさや疎外感を感じることがあります。
これを「落ちこぼれ」の逆の状態として「うきこぼれ」といいます。
優秀な児童・生徒が学校の枠組みからはみ出してしまう様子を、煮立った湯が吹き上がってこぼれる様子になぞらえて「吹きこぼれ」と呼ぶこともあります。
うきこぼれの生徒に向けて特別授業を実施する学校も増えており、この現象は教育界で広く知られるようになってきています。
同年代の子どもと比べて知的能力が非常に高い子どもを「ギフテッド」や「才能児」と呼ぶことがあります。
「うきこぼれ」の子どもも同様に高い能力を持っていますが、
彼らが苦痛や困難を感じているかどうかが「うきこぼれ」としての特徴です。
アメリカをはじめとする欧米の多くの国では、ギフテッドと認定されると、
飛び級制度が適用されたり、その子に適した専門の学校に通えたりします。
このように、本人に適した学びの環境が提供されるため、苦痛や困難を感じることは少なくなり、
「うきこぼれ」の子どもはほとんど見られません。
しかし、日本では義務教育において飛び級制度は基本的に認められていないため、
こうしたサポートが不足しているのが現状です。
学習指導要領の内容削減による教育内容の簡素化、
早期教育を含む塾での先取り学習、
画一的な一斉授業が多様な生徒の能力
に対応していないことが、うきこぼれの主な原因とされています。
授業がつまらなく感じることで学級崩壊や不登校の原因となることもあります。
また、いじめの加害・被害の遠因となる場合もあります。
学習塾の高度な内容に適応した生徒は、学校の授業よりも塾の授業を楽しいと感じ、さらに学校から離れていく傾向があります。
首都圏や近畿圏などの中学受験が盛んな地域では、
受験を目指して進学塾に通う生徒とそうでない生徒の意識や学力の差が、昔よりも大きくなっています。
うきこぼれについて、「うちの子は小学校の授業が簡単すぎて困っているんです」と周囲に話しても、
すぐに問題の深刻さを理解してもらえないかもしれません。
下手をすると「自慢してるの?」と誤解されることもあります。
しかし、その子ども自身にとっては、もっと知識を得たい、深く探求したいという欲求があるのに、
毎日わかりきった内容を何時間も座って聞き続けるのは非常に苦痛です。
うきこぼれを経験した人の中には、
「周りに変な目で見られるので、わざと分からないふりをした」
「先生に嫌われるので100点ばかり取らないようにしていた」
と話す人もいます。
このようなストレスから不登校になったり、心身の不調をきたしたりしてしまう子どもも少なくありません。その結果、フリースクールや塾、興味のある分野で個人的に学ぶなど、学校の外にしか安心して学べる場所がないという状況が生まれることもあります。
残念ながら、日本の公立小中学校ではうきこぼれの子どもが十分に学べる環境を整えるのは難しいのが現状です。
これは学校や教師が悪いというわけではなく、現在の学校教育のシステムそのものが
「家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもが平等に学べる環境を提供する」
という理念に基づいて作られてきたからです。
すべての生徒が同じ進度で進むことを前提としたカリキュラムを、もっと柔軟にして、
クラスメートと関わりながらも学習を個々に最適化することが理想です。
現在、国が進めているICT教育が実現すれば、そのような教育が可能になるかもしれませんが、
実現にはまだ時間がかかりそうです。
一部の公立小中学校や独自のカリキュラムを持つ私立学校では、能力が突出した子どものための学習環境を整えているところもあります。
しかし、地域にそのような学校がなかったり、私立学校の学費が負担できなかったりすることもあるでしょう。
そのような場合、以下のような工夫をして、
子どもの知的好奇心を生かし、心を守る手助けをしてあげてください。
これらの方法を通じて、
子どもの才能を伸ばしつつ、健やかな心の成長を支援することが大切です。
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