イエナプランとは?原則・日本における導入事例も解説
最終更新日2025.01.31
公開日2025.01.31
ドイツで始まり、オランダを通じて広まった教育モデルのひとつであるイエナプランが、
現在日本でも注目を集めています。
日本国内でもイエナプランの学校が開校され始め、関心が高まっています。
イエナプランは、日本で導入され始めたばかりの比較的新しい教育方法です。そのため、
イエナプランの方針や内容についてよく知らない方も多いかもしれません。
この記事では、イエナプランの基本的な概要やその原則について詳しく紹介します。
また、オランダや日本におけるイエナプランの現状についても解説しますので、
ぜひ参考にしてください。
イエナプランとは
イエナプランは、ドイツの教育学者ペーター・ペーターセン(Peter Petersen,1884〜1952)によって創始されました。
1950年代にオランダの教育学者スース・フロイデンタール(S.J.C.Freudenthal, 1908〜1986)が導入し、1960年にオランダ初のイエナプラン校が設立されました。
以降、イエナプランの理念はオランダの公教育制度にも影響を与え、広まっていきました。
現在、オランダには公立校と私立校を合わせて200校以上のイエナプラン小学校が存在しています。
イエナプランは、単に知識を伝達するだけではなく、子どもの個性や自主性を重視した教育を行うのが特徴です。
2000年代に入り、日本でも教育関係者の間で注目されるようになり、
個性重視や個別最適な学びが求められる中で関心が高まっています。
イエナプランの原則
1992年に、K・ボットとK・フロイデンヒルによってイエナプランの20のコンセプトが
策定されました。
これらのコンセプトは、「人間」「社会」「学校」の3つのカテゴリーに大きく分けられています。
人間
イエナプランでは、すべての人が次の価値や権利を持つとされています。
- ・かけがえのない価値: 一人ひとりが他の人や物に替えられない特別な存在であること
-
- ・自分らしく成長する権利: 人種、国籍、性別、宗教、障がいの有無に関係なく、自分らしく成長する権利を持つこと(他人に左右されず独立すること、創造的な姿勢や自分で判断する意志を持つこと、人間関係において正しいものを追求することが含まれる)
-
- ・特別な関係を築く権利: 自己成長に必要な他者との特別な関係や、自然や文化と直接触れ合う機会を持つ権利
-
- ・個性を尊重される権利: 独自の人格を持つ人間として認められ、その個性に応じた対応を受ける権利
-
- ・文化の担い手としての権利: 文化の一部として、または文化を変革する者として認められ、その役割に応じた待遇を受ける権利
社会
イエナプランでは、次のような社会を目指しています。
- ・一人ひとりの価値を尊重する社会: すべての人のかけがえのない価値を尊重し合う社会
-
- ・アイデンティティを育む社会: 個々のアイデンティティを育てる環境と刺激を提供する社会
-
- ・公正、平和、建設性を重視する社会: 公平と平和、建設性を重視し、個々の違いや成長、変化を受け入れる社会
-
- ・地球と世界を大切にする社会: 地球と世界を大事にし、注意深く守る社会
-
- ・責任を持って未来を守る社会: 未来のために、自然や文化の恵みを享受しながら、一人ひとりが責任を持つ社会
学校
イエナプランでは、学校とその教育活動を以下のように定義しています。
- ・学校の役割: 学校は関係者全員にとって独立した組織であると同時に、協力して築き上げる共同体であり、学校は社会から影響を受けながらも社会に影響を与える
-
- ・教育の原則: 学校で働く大人たちは、「人間と社会について」の基本原則を子どもたちの学びの基点として指導する
-
- ・教育内容: 学校教育の内容は、子どもたちの生活経験や感情から得られる実体験、そして文化的な資源から引き出される(これらは「人々」と「社会」の発展にとって重要な手段とされる)
-
- ・教育方法: 学校では、教育学的に考え抜かれた教材や環境を用いて学習活動を行う
-
- ・基本活動: 対話、遊び、学習(仕事)、イベントという4つの基本活動がリズミカルに交互に行われるように教育活動を進める
-
- ・グループ編成: 年齢や発達段階が異なる子どもたちが互いに学び合い、助け合えるように慎重にグループを編成する
-
- ・学習と遊びのバランス: 個人での遊びとグループリーダーの指導による学習を交互に行い、どちらも子ども自身の学習意欲を重視する
-
- ・経験学習: 学習の基本として経験、発見、探究を重視し、ワールドオリエンテーション活動も重要視する
-
- ・評価方法: 子どもの行動や成績は、その成長過程に基づいて評価される(評価は子どもと話し合いながら行われる)
-
- ・改善と行動: 日常的に改善や変化を追求し、実践と反省を交互に繰り返す姿勢が求められる
日本におけるイエナプランの導入事例
日本でイエナプランが広く知られるようになったきっかけは、リヒテルズ直子氏が2004年に『オランダの教育―多様性が一人ひとりの子どもを育てる―』、
2006年に『オランダの個別教育はなぜ成功したのか―イエナプラン教育に学ぶ―』を発表したことにあります。
リヒテルズ直子氏は1990年代からオランダに住み、
オランダの教育や社会情勢について研究し、その成果を著書などで発信してきました。
2010年には、イエナプランの発展と普及を目的に日本イエナプラン教育協会が設立されました。
この動きを受け、2019年には長野県佐久穂町に「イエナプランスクール大日向小学校」が開校し、2022年には同じく中学校も開校しました。
さらに2022年には、広島県福山市立「常石ともに学園」が公立小学校として初めてイエナプランに基づいた教育を開始しました。
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