里親が里子委託中に何かあった時に備えて保険は加入できる?里親未経験の方なら当然不安に思う里親の保険制度について、概要を端的にまとめてみました。
各地域で運営されている保険や全社協が行う保険など、里親保険と言われているものがいくつかありますが、ここでは全国里親会が窓口になっている保険についてみることにします。
全国里親会が窓口になっている保険は損害保険ジャパン日本興亜㈱の運営する里親賠償責任保険のことです。
里親賠償責任保険とは、委託された児童が学校の窓ガラスを割り、法律上の損害賠償責任を里親が被った場合などに補償する「施設賠償責任保険」と、里親が調理した料理が原因で委託児童が食中毒を起こしてしまった場合などに補償する「生産物賠償責任保険」からできています。
通常、12歳以上の子どもについては事故などに対して責任能力があるとされ、里親を被保険者とする保険契約の場合は対象になりませんが、この里親賠償責任保険については12歳以上の子どもについても補償の対象になります。ただし年間保険料にそうした子ども一人当たり1750円が加算されます。
里親賠償責任保険には通常保険(1年間)と短期保険があります。
・通常保険
通常保険の種類としては、補償額と保険料によって3つのタイプがあります。
Aタイプ
施設賠償、生産物賠償とも1000万円ずつついて年間負担額が里親1世帯当たり2410円。
Bタイプ
施設賠償、生産物賠償とも5000万円ずつついて年間負担額が里親1世帯当たり4560円。
Cタイプ
施設賠償、生産物賠償とも1億円ずつついて年間負担額は里親1世帯当たり6030円。
どのタイプの保険に加入するかは地域の里親会が決めていますので、どのタイプの保険に加入しているのか知りたい場合は里親会に確認する必要があります。多くの地域ではこれらの保険料を行政が負担しています。通常補償金額は1000万円内ですが、子どもに対して死亡や後遺症を伴う事故があった場合、実親から1億円の賠償も求められたケースもないわけではありません。
・短期間子どもを預かる季節里親等でも加入できる短期里親保険
里親賠償責任保険には通常保険以外に、季節里親、週末里親、レスパイト・ケア、ショートステイ里親など短期間子どもを預かる「短期里親保険」があります。この場合は、補償金額・保険料、また預かる期間(1か月単位)、12歳以上の子どもか否かなどを記入して、必要な時に加入します。
・事故が発生した際の手続きについて
万一事故が発生した場合には地域の里親会事務局まで書面(事故通知書)で知らせます。受け取った里親会事務局は保険代理店まで知らせます。
【2022年1月12日追記】
この里親保険にオプション補償が加わりました。1つは「里親の怪我など」。もう1つは「家財の補償」。里親が子どもに暴力を振るわれてケガをした、子どもに家を壊されたなどの声を受けて作られたものです。
D~Fタイプがあり、補償金額、保険料に違いがありますので里親会などに確認をしてみてください。また、このオプション補償は里親保険とセットでの加入となっています。加入するかどうかは個人ではなく里親会としての判断ですから、皆さんと話し合って対応することになります。
Q1 全国里親会の会員以外が里親賠償責任保険に加入することはできますか?
A1 全国里親会会員以外は加入できません。
Q2 委託された子どもを自動車で送迎している際に、交通事故で他人をケガさせてしまい損害賠償請求を受けました。里親賠償責任保険で補償されますか?
A2 補償はされません。自動車の所有・使用・管理に起因する事故は自動車保険の補償範囲となります。
Q3 週末里親などで、一時的に子どもを委託された場合も保険の対象になりますか?
A3 一時的に子どもを委託された場合(季節里親、週末里親、ショートステイ里親、レスパイト・ケアなど、ここでは短期里親と呼ぶ)は、各里親会より全国里親会に名簿を提出されている場合のみ対象となります。
Q4 一時保護についてはいかがですか?
A4 委託一時保護については保険の対象になりますが、里親賠償責任保険で定義する短期里親には入りません。そのため、毎月の増減の通知および保険料の清算は不要です。一時保護の子どもがいる場合は、他の子ども同様通知書に記載が必要です。
Q5 Bタイプに加入したい里親とCタイプに加入したい里親がいます。分けて加入することは可能でしょうか?
A5 分けて加入することはできません。里親会単位で全員同じタイプに加入してください。
Q6 保険期間の途中で里親数に増減があった場合、保険料の追加支払いはありますか?
A6 短期里親については提出した名簿に基づいて積算した保険料を、保険期間終了後に支払うことになります。
※短期里親以外の保険料については年度末に提出した世帯数、12歳以上の子どもの数によって算出した保険料を保険期間開始前に支払うことになります。
Q7 委託された子どもによって起こした事故で、その子ども自身が賠償責任を負う場合は、この保険の対象になりますか?
A7 賠償責任を負う可能性のある12歳以上の子どもは全員、自動セットの個人賠償責任の補償対象になっています。
※()内は保険金のおよその額
・教室を移動中友人とぶつかり友人の眼鏡フレームを壊してしまった。(22000円)
・コウモリに向かって石を投げて遊んでいたところ近隣の自動車に当たってしまった。(125000円)
・児童が学校で担任の先生に呼び止められ、日頃からの不満が重なりランドセルを床に投げたところ窓に当たって割れた。(16000円)
・教室外にいた級友が教室をのぞいたことに腹を立てた児童が教室の後ろ側のドアを手で叩きガラスが割れた。(6000円)
・学校教材の彫刻刀をバスに持ち込み、送迎バスの中で遊び座席17か所に傷をつけた。(21000円)
・発達障害の内服薬を飲み忘れて登校し、落ち着かず友達に暴力を振るった。(47000円)
・児童が小石を投げてアパートの窓に当たってしまった。(9000円)
・駐車場で誤って隣の車に傷をつけてしまった。(24000円)
・放課後遊んでいて友達の顔を押さえたところ眼鏡を壊してしまった。怪我はなし。(3000円)
・学校で友人の楽器ケースを破損させてしまった。(2000円)
・神殿のガラスを割ってしまった。(9000円)
・サッカー中にガラスを割ってしまった。(16000円)
・12歳以上。自転車並走中友人が前輪に足が挟まり泥除けが破損。(7000円)
・12歳以上。学校で遊んでいて窓ガラスを割った。(6000円)
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