近年、母子家庭への負担を軽減させるために空き物件をリノベーションしてシェアハウス事業に乗り出す不動産会社や、母子家庭向けのシェアハウスを作る運営会社などが増えており、母子を対象にしたシェアハウス「母子シェアハウス」の設置・利用が広がりつつあります。
そこで今回は、母子家庭で子どもを育てている方に向けて、母子シェアハウスの特徴や拡大の背景、利用する際に注意すべきポイントなどをまとめました。
母子家庭やシングルマザー向けのシェアハウスのことです。なお、シェアハウスとは、1つの住居に複数人が共同で暮らす賃貸物件のことで、一般的には共同で使用するキッチン・リビング・バスルームおよびプライバシー空間としての個室が設けられています。
母子シェアハウスの利用は、母子家庭にとって「家賃が安いために生活費を抑えられる」「コミュニティに所属できる」などの点でメリットが得られると考えられています。
前述したメリット以外にも、母子シェアハウスの利用が広がっている要因は存在します。
厚生労働省の調査によると、母子家庭の持ち家率は35%(うち「母本人の名義の持ち家」に居住している世帯は15.2%)で、賃貸住宅は33.1%です。これに対して、父子家庭の持ち家率は68.1%と約2倍に上ります。
こうした状況下で、離婚などをきっかけに家を出る母子家庭が多く存在すると想定されます。しかし、もともと公的な住まいに関する支援策は乏しいのが現状であり、民間賃貸では母子世帯は収入が不安定であると判断されて入居を断られるケースも多く見られます。
確かに、母子家庭には母子生活支援施設への入居という選択肢も存在しますが、これまで普通の生活を送っていた人の中には、施設に入居することに抵抗感を覚える人も少なくありません。
また、より深刻な状況に置かれている「DV被害者」の入居が優先的に認められる傾向もあることから、必ずしも入所希望が受け入れられるとは限らず、結果的に子どもを連れて実家に帰ったり、友達の家を転々としたりするシングルマザーが多くいると考えられています。
こうした事情を鑑みて、現在ではひとり親の孤立や貧困を防ごうと全国の運営事業者がノウハウを共有する取り組みが開始されているほか、自治体がシェアハウスの開設に乗り出す例も見られます。
さらに、保育園や洗濯代行店などが併設されているシェアハウスが誕生していることも、母子シェアハウスの利用拡大を促しています。こうしたシェアハウスでは、保育園の送り迎えを行う手間が省けるほか、希望すればそこで働くこともできるため、職を探しているシングルマザーにとって大きな魅力です。
ここまで取り上げたとおり、母子シェアハウスにはさまざまなメリットが期待されますが、少なからずデメリットもあることから、利用時には注意しておくことが大切です。
中でも代表的なデメリットの1つに、「他の入居者との価値観の相違による、もめごとの発生」が挙げられます。これはシェアハウス全般で発生するおそれのあるトラブルですが、母子シェアハウスでは、子育てや教育の価値観をテーマにしたもめごとが起こる可能性が高まります。
これは、さまざまな価値観のもとで充実した子育て経験ができるという意味ではメリットであるとも考えられるものの、場合によっては自身の教育方針(例:食事内容や就寝・起床時間などのルール)を通しにくくなるおそれがあり、母からするとフラストレーションが溜まる要因となります。
このように、シェアハウスでは他の入居者との相性が重要となるため、体験入居を実施しているのであれば、試しにしばらく住んでみて、他の入居者たちと自身および子どもとの相性が合うかどうかマッチングを図ることが望ましいです。
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