全国には生みの親と離れて、里親と暮らしている子どもが約1万人います。近年、こうした社会的養育を受ける子どもたちにさまざまな奨学金が用意されるようになりました。
児童福祉法によると、社会的養護の対象は18歳未満とされており、原則として18歳を迎えると、里親家庭から出て行かなくてはなりません。こうした子どもの多くが、住居費や生活費を捻出するために就労します。経済的な理由に加えて、体力的・精神的な疲労から進学をあきらめたり進学しても長く続かなかったりするケースが一般の若者に比べて圧倒的に多いのが現状です。
そこで本記事では、返済義務のない給付型の奨学金を支給してくれる代表的な機関・団体を紹介します。
まずは、公的機関による代表的な奨学金を紹介します。
■ 日本学生支援機構給付型奨学金
支給対象は全国ですが、進学先の大学等が支援対象となっていることが必要です。高校経由で申し込みを行い、私立か公立か自宅通学かなどにより給付額は異なります。
参考:日本学生支援機構「給付奨学金(返済不要)」
続いて、民間の機関による代表的な奨学金を紹介します。
■ 児童養護施設・里親家庭等進学応援金(朝日新聞厚生文化事業団)
全国の里親家庭と児童養護施設、自立援助ホームの子どもを対象とする奨学金です。募集人数は18名前後です。入学祝いとして10万円、学生応援金として30万円/年(最大120万円。6年制の場合は180万円)を給付しています(2022年度実績)。
参考:朝日新聞厚生文化事業団「2022年度 児童養護施設・里親家庭等の進学応援金」
■ 資生堂児童福祉奨学金(資生堂社会福祉事業財団)
全国の里親家庭、児童養護施設、自立援助ホーム、ファミリーホームなどの子どもを対象とする奨学金です。募集人数は5名程度とされています。
以前は児童福祉分野のみを対象としていたものの、2021年度より全ての学部・学科で応募可能となりました。給付金額は、「年間50万円×最短卒業年次」です。
参考:公益財団法人 資生堂子ども財団「資生堂子ども財団奨学金」
■ 日本財団夢の奨学金(事務局(福)大阪児童福祉事業協会アフターケア事業部)
全国の社会的養護のもとで暮らした経験のある18歳~30歳の人を対象とする奨学金です。募集人数は10名前後とされています。給付金額は、入学金・授業料が全額、生活費が8万円/月、教材費が12万円/年などです。
参考:公益財団法人日本財団「「日本財団夢の奨学金」第8期(2023年度)奨学生募集」
■ PMJフォスターファミリー奨学助成(フィリップモリスジャパン・事務局(一社)RCF)
関東甲信越静エリアの里親家庭の子どもを対象とする奨学金です。募集人数は5名が上限です。給付金額は、「年間50万円×最短卒業年次」とされています。
2008年の開始より14年にわたり、これまで70名に対して助成を行っています。そのうち42名がすでに学校を卒業し、社会人として働いています。
参考:PMJフォスターファミリー奨学助成事務局「PMJフォスターファミリー奨学助成について」
最後に、大学による代表的な奨学金を紹介します。
■ 紺碧の空奨学金(早稲田大学)
早稲田大学の学部に入学を希望する人で一定の条件を満たす人を対象とする奨学金です。募集人数は若干名とされています。
給付金額は、入学検定料(大学入試センター主催の大学入学共通テストの検定料は除く)および入学金免除、授業料・実験実習料等・その他諸経費の全額免除勉学に専念できるよう家賃補助および生活支援金として月額9万円を上限に給付などです。原則として、正規の在学中4年間まで給付されます。
参考:早稲田大学 奨学課「2023年度 紺碧の空奨学金 募集要項」を公開しました(2022.7.8)。」
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