現在、さまざまな事情により実親のもとで養育されていない子どもを社会全体で育てる「社会的養護」を推進するために、多種多様な事業・制度が進められています。このうち、「里親制度」における「家庭養護」の1つとして位置付けられている「ファミリーホーム」も、重要な一端を担っている状況です。
そこで今回は、主に里親になることを検討している方に向けて、ファミリーホームの定義や目的、課題を中心にまとめました。
ファミリーホーム(英語:Family Home)とは、小規模住居型児童養育事業のことです。具体的にいうと、養育者の家庭に子どもを迎え入れて養育を行う家庭養護の一環として、保護者のない子どもまたは保護者に監護させることが不適当であると認められる子どもに対して、この事業を行う住居において、子ども間の相互作用を活かしつつ、子どもの自主性を尊重し、基本的な生活習慣を確立するとともに、豊かな人間性及び社会性を養い、子どもの自立を支援することを目的とするものを意味します。
簡単にいうと、個人・NPO法人・社会福祉法人が主体となって運営されており、里親家庭と同じように家庭で子どもを育てることを目的に掲げる施設のことです。児童養護施設やグループホームなどの施設と比較すると、より家庭に近い環境で養育できる点に大きな特徴が見られます。
なお、ファミリーホームは、子どもを育てるための施設ではなく、その名のとおり家族と一緒に住む家のことです。子どもの養育者も一緒に住んでいるため、施設などの交代勤務とは違い、子どもにとっては里親の家で生活することとほぼ同じ環境になるのが基本です。そのため、制度上でも「家庭養護」として、里親と同じ位置付けにあるのです。
令和元年度末時点において、日本全国にファミリーホームは417箇所あり、1,660人の委託児童が養育されている状況です。
2008年の児童福祉法改正によって、「小規模住居型児童養育事業」として全国的に実施されるようになりました。
以前より里親型のグループホームとして都道府県等で行われていましたが、それを2008年に国が新たに里親制度と並ぶ家庭養護の制度として法定化し、里親のうち多人数を養育するものを事業形態として、相応の措置費を交付できる制度としました。
形態は、「自営型」と「法人型」の2つに分かれます。前者は、「養育里親の経験者が行う場合」もしくは「施設職員の経験者が施設から独立して行う場合」に、後者は「施設を経営する法人が、その職員を養育者・補助者として行う場合」にそれぞれ該当します。
なお、いずれの場合も、養育者は、小規模住居型児童養育事業を行う住居に生活の本拠を置く者に限ります(それ以外は補助者に該当)。そして、「養育者2名(配偶者)+補助者1名」もしくは「養育者1名+補助者2名」の体制で実施することが求められます。
委託児童の定員は、5人もしくは6人です。同時に養育する委託児童の人数は委託児童の定員を超えられないものの、「災害その他やむを得ない事情がある場合はこの限りでない」とされています。
現在、以下のような課題を抱えており、養育の質の確保が求められています。
また、新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間において、衛生用品を中心とする物資不足や人手不足に悩まされる施設も目立っています。そのほか、養育者・補助者としては、新型コロナウイルス感染拡大がもたらす子どもの精神面への影響にも注視すべきといえます。
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