里親には対応する児童の特性や、児童との関係、里親の希望などによって4つの種類に分けられています。その中でも最近特に重要性が高まっているのが、専門里親の存在です。
そこで今回は、里親になることを検討している方に向けて、専門里親の概要、なるための条件、近年の動向・課題などを中心にまとめました。
虐待された児童や非行などの問題を有する児童、および身体障害児や知的障害時児など、一定の専門的ケアを必要とする児童を養育する里親のことです。主な目的として、実家庭への家庭復帰・家族の再統合・子どもの自立支援などが設定されています。
そのほかに日本の里親制度では、「養育里親」「養子縁組里親」「親族里親」という3つの分類が存在します。
養育里親よりも養育の難易度が高まることから、専門的な研修を受けることが求められます。また、子どもの養育を丁寧に行う必要があるため、養育に専念できる環境を整備しなければなりません。そのほか、「3年以上の養育里親としての経験」などの条件も存在します。
令和2年度の福祉行政報告例より、登録里親数を種別に見ると、専門里親が715世帯、養育里親が11,853世帯、養子縁組里親が5,619世帯、親族里親が610世帯あることがわかっています。一方で、専門里親に登録されている715世帯のうち、実際に子どもが委託されているのは171世帯(約24%)に留まっている状況です。
また、厚生労働省が取りまとめたアンケート調査(平成29年度実施、全国の養育受託中の里親家庭4,000箇所を対象、うち1,726家庭から回答を得た)より、専門里親の経験がある人の「これまで養育を受託した里子の人数」を見ると、「1人」が34人と最も多く、次いで「2人」が21人、「3人」が11人となっていることもわかっています。
専門里親への未委託率が高い一方で、近年は子どもに対する虐待事件が目立っており、専門里親の担う役割の重要性がますます高まっています。実際に、児童虐待相談対応件数の推移を見ると、年々増加傾向にあり、令和2年度には205,044件と過去最高を記録しています。
厚生労働省 子ども・子育て支援推進調査研究事業「里親家庭における養育実態と
従来、専門里親の里親手当は、月額137,000円(2人目以降は94,000円)でしたが、2020年度より141,000円(2人目以降も同額)に増額されました。
専門里親は養育里親に比べると専門的な知識と理解が必要であるものの、今後とも専門里親の重要性はますます増していくと考えられています。実際に、虐待の相談対応件数は、年々右肩上がりの状況です。
虐待および発達障害など専門的なケアが必要な子どもにとって、家庭という場所で守られる重要性は非常に高いです。以上のことから、専門里親になることを検討している方は、まずはお近くの児童相談所までお気軽にお問い合わせください。
なお、日本こども支援協会では、里親に関するさまざまな情報をご覧いただけたり、里親への質問を投稿するなど里親や関係者との交流を行えたりする場「オンライン里親会」を提供しています。現時点で実際に里子の養育をされていなくても「応援メンバー」として登録できますので、専門里親に関心のある方はお気軽にご利用ください。
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