児童養護施設・乳児院などでは、虐待や親の病気などさまざまな理由によって親と暮らせない子どもが暮らしています。しかし、実はこうした施設で暮らす子どもの養育に、一般家庭が関われる制度もあるのです。
今回は、その制度の1つに位置付けられる「週末里親」について、概要や必要性、役割などを中心に解説します。
週末里親とは、児童養護施設や乳児院などで生活している子どもの中から、親や親族などとの面会や外泊の機会が少ない子どもを対象に、月に1~2回の週末や夏休み・お盆・お正月などに継続して家庭に迎え入れて、社会経験や家庭生活の経験を積ませてあげるボランティアのことです。
週末里親は、複数の子どもや毎回異なる子どもを引き受けるのではなく、決まった子ども1人に細くかつ長期にわたって関わるのが基本的な目標として掲げられます。
実親と別れたり保育士さんの転勤があったりと、子どもに関わる大人は次々に入れ替わってしまうのが現状です。そのため、特定の大人との信頼関係を結べていないことが多いことから、週末里親となる人物には、主として1年以上の継続の見通しを立てられることが求められているのです。
児童養護施設や乳児院などでの生活にはメリットも多く存在するものの、同時にデメリットも少なからずあります。とりわけ児童養護施設や乳児院などでの集団生活では、1人1人の子どもにじっくり時間をかけて関わることが難しいため、それぞれの子どもの個性に応じた生活を送らせることは容易ではありません。
また、児童養護施設や乳児院などでは、一般的な家庭において当然のように行われる食事・団らん・お手伝い・買い物などを知らないまま成長してしまいかねません。子どもたちが成長し、将来的に自立を目指すためには、こうした一般の家庭での経験が非常に貴重です。
さらに、子どもからすると、自身に深い関心を寄せてくれる人との関係が、親と離れて暮らす寂しさを緩和し、精神の安定化につながります。週末里親は、集団生活の短所を補いながら、子どもたちに生活力を身につけさせるためにもつ必要な存在です。
週末里親は養育里親や養子里親の前段階という位置付けではなく、養育里親や養子里親を必要とする子どもの場合には、その目的に沿った募集が別に行われます。そのため、それぞれ別の役割を担うことを認識しておきましょう。
週末里親の対象となる子どもは、現状として親・親族との関わりは持たないものの、これらは実在しています。そのため、週末里親は、自身のために定期的に会いに来てくれる「おじさん」「おばさん」の役割を担う存在だといえます(週末里親を続ける中で、子どもとさらに深く関わりたくなった場合は、自治体・児童相談所に相談しましょう)。
なお、週末里親の目的は、あくまでも子どもに普段の家庭を体験させることであるため、特別にプレゼントやお小遣いは必要ないと考えられています。
また、里親として行えることには限界があるため、長い目で接することも大切です。心配のあまり家庭が厳しい「しつけの場」になってしまうのも、子どもからするとつらいです。ゆっくりと時間をかけて付き合う中で、改善を待つ気持ちが求められます。
週末里親と類似する言葉で「短期里親」がありますが、以下のように大きく異なります。
名称
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特徴
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週末里親
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・週末など一定期間のみ児童養護施設で暮らす子どもを預かる里親のこと ・各自治体により名称が異なる(例:週末里親、季節里親、3日里親、ふれあ い里親、ホームステイ里親、ショートステイ里親など) ・養育里親(制度内里親)には該当せず、養育費など里親としての手当を受け られない |
短期里親 |
・養育期間が短期(例:数週間や1年以内など)になる養育里親のこと ・制度内里親に該当するため、養育費など里親としての手当を受けられる |
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