「児童養護施設等退所者の実態調査」は、東京都福祉保健局によって、児童養護施設等を退所(措置解除)した方を対象に行われた実態調査です。前回の調査(平成27年実施)から5年が経過している中で、自立支援に関する現状と課題をあらためて把握するだけでなく、これまでの取組について検証する目的のもと実施されました。
本記事より、3回に分けて調査結果の要約を取り上げます。
本調査は、児童養護施設、児童自立支援施設、ファミリーホーム、自立援助ホーム、里親などから退所した人の生活状況、生活上の課題、支援ニーズなどを把握・整理することを目的に、退所者本人に対して、退所から現在までの状況をアンケート形式で尋ねたものです。
本調査の対象は、 過去10年間(平成22年4月から令和2年3月まで)に、中学卒業以降で措置解除となった人です。そのほかの概要は、以下のとおりです。
・調査対象者数:4,472人
・配布数:2,780枚
・有効回答件数:545件
・回収率:19.6%
ここからは、調査結果の要約を取り上げます。
【退所後の進路に関するアンケート調査】
▼進学・就学の状況
①退所直後の進学の状況
・退所直後の主な進路について、「進学した」人の割合は46.5%で、前回調査と比べると3.4%増加。
・退所直後に進学した学校の種類別に「中途退学した」と回答した人の割合を見ると、「高校」は8.9%、「専門学校・短期大学」は16.0%、「4年制大学」は15.1%。
・退所直後に進学した学校の卒業・在籍状況について前回調査と比べると、「中途退学した」と回答した人の割合は14.0%(6.8%減少)で、「卒業した」と回答した人の割合は50.8%(16.9%増加)。
・現在の就労・就学の状況について「学校に通っている」と回答した人の割合は、19.2%。
・現在通っている学校の種類について前回調査と比べると、「(4年制)大学」と回答した人の割合は43.7%(3.0%増加)で、「専門学校・短期大学」と回答した人の割合は36.9%(2.4%増加)。
・現在学校に通っている人を除いて最終学歴を見ると、高校が57.5%と最も多く、4年制大学は9.4%。また、前回調査と比べると、「中学校」と回答した人の割合は13.0%(5.7%減少)で、「(4年制)大学」と回答した人の割合は9.4%(6.2%増加)。
・手取りの月収について現在の就労・就学の状況別に見ると、「就学あり・就労あり」「就学あり・就労なし」のいずれも、「5万円未満」「5~10万円未満」を合計した割合が70.0%を超えている。
▼就職・就労の状況
①退所直後の進学の状況
・退所直後の主な進路について前回調査と比べると、「就職した」人の割合は42.8%(4.6%減少)。
・退所直後に最初に就いた仕事について、55.3%が「すでに辞めている」と回答。継続期間について前回調査と比べると、「12カ月未満」と回答した人の割合は42.9%(7.9%減少)。
②現在の就労の状況
・現在の就労・就学の状況について「働いている」と回答した人の割合は、79.0%。現在の就労・就学の組み合わせを見ると、「就学なし・就労あり」の割合は68.9%と最も高い。
・現在の雇用形態を見ると、「正社員」が47.8%と最も多く、次いで「パート・アルバイト」。現在の就学の有無別に見ると、「就学なし」では「正社員」と回答した人が54.7%、「パート・アルバイト」と回答した人が31.8%。
・現在学校に通っている人を除き、現在の仕事の業種を見ると、「商業・サービス業」が46.6%と最も高く、前回調査(46.0%)とほぼ同様の結果。
・現在学校に通っている人を除いて最終学歴別に雇用形態を見ると、「中学校」「高校」では「正社員」と回答した人の割合は、それぞれ33.3%と48.6%。「専門学校・短期大学」「4年制大学」では「正社員」と回答した人の割合は、それぞれ73.8%と83.8%。
・手取りの月収について現在の就労・就学の状況別に見ると、「就学なし・就労あり」では「15~20万円未満」が34.0%と最も割合が高い。
退所者の生活およびその他のアンケート調査の要約は、次回の記事「児童養護施設等退所者の実態調査【要約②】」にて取り上げます。
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