子どもの意見表明権とは、「子どもの権利条約」の第12条において規定されている権利であり、子どもが自分自身に関係することについて、自由に意見を表すことのできる権利をさします。
今回は、子どもの意見表明権の概要および、現在の日本が抱えている課題などを中心に解説します。
前述のとおり、子どもの意見表明権とは、子どもの権利条約第12条において規定されているもので、子どもが自分自身に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利のことです。本条約の第12条によると、ここで表された意見は、子どもの発達具合に応じて十分に考慮されなければならないと規定されています。
つまり、本条約の第12条は、子どもの法的および社会的地位について取り扱っており、この点において他の人権条約には見られない特徴のある規定だといえます。
子どもは、成人のような自律性を持たないものの、権利の主体である。そこで、本条約の第12条第1項では、自己の意見をまとめる力のあるすべての子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に意見を表明する権利を保障すると同時に、子どもの意見がその年齢および成熟度にしたがって正当に重視されると規定しています。
また、本条約の第2項では、子どもが自己に影響を与えるいかなる司法的・行政的手続においても、意見を聴かれる権利を認められなければならないと規定しています。
子どもの権利条約について詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。
子どもの意見表明権は子どもの権利条約において規定されている権利であり、本条約には日本も批准しています。
ただし、子どもの心の声をくみ取ることは、決して容易ではありません。自分自身で声を上げられない子どもは少なからず存在しており、虐待などの傷を受けている場合はなおさら声を挙げにくい状況にあると想定されます。
現状の日本社会では、子どもを権利の主体としてではなく、保護の対象として見る傾向が根強くあります。こうした中で、子どもの意見を聞いて代弁する仕組み「子どもアドボカシー」の整備など、意向を把握し権利を擁護する態勢の構築が急がれています。
子どもアドボカシーの詳細は、以下の記事をご確認ください。
子どもアドボカシー① 意味や概要、必要性などをまとめました。
上記のような課題を踏まえて、日本政府は、今国会(第208回常会、2022年1月17日〜同年6月15日)において児童福祉法改正案を提出しました。
この法改正案を通じて、一時保護における強制措置の手続きの透明性を高めるために、親権者の同意がない場合に保護の要否を裁判官が判断する制度の導入を図っています。これにより、施設入所や里親委託などの措置も含めて、児童相談所が子どもの意見・意向を確認し、勘案することが義務付けられることになります。
そのほか、自治体でも取り組みが進んでいます。一例を挙げると、2020年度より、宮城県では、県中央児童相談所の一時保護所において、意見表明支援員の役割を依頼した弁護士が希望する子どもと定期的に面談する試みを行っています。現在は仙台市とともに、児童養護施設などにアドボケイトを派遣する事業が進んでいる状況です。
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