里親になるうえで、特別な資格の取得は必要とされません。ただし、子どもに対して、安全かつ安心して暮らせて、社会へ巣立っていけるような家庭環境を提供するために、里親になりたい人には研修の受講が求められています。
そこで今回は、里親になるための研修や要件、登録までの流れを中心にまとめました。
里親とは、親の病気・家出・離婚・その他さまざまな事情によって家庭で暮らせない子どもたちを、自身の家庭に迎え入れて養育する人のことです。里親は、以下の4種類に分けられます。
養子縁組を目的とせずに、要保護児童を預かって養育を行う里親をさします。保護者が子どもを引き取れるようになるまで、もしくは子どもが自立するまでの一定期間養育を行うのが原則です。
養育里親になることを希望する人については、事前に研修を受けたうえで登録を行う必要があります。なお、この登録の有効期間は5年間で、更新のためには研修を受けなければなりません。
※「養育里親」について詳しくは「養育里親とは?概要、近年の動向・データ、なるための方法も解説」をご覧ください。
虐待を受けた子ども、非行の問題を有する子ども、知的・身体・精神に障がいを持つ子どもなど、専門的なケアが求められる子どもに対して養育を行う里親をさします。
養育里親と比べて、専門里親に求められる養育の難易度は高いため、専門的な研修の受講が求められます。また、子どもの養育を丁寧に行うことが求められることから、養育に専念できる環境を整備しなければなりません。
なお、専門里親の登録有効期間は2年間で、更新のためには研修を受けなければなりません。
※「専門里親」について詳しくは「専門里親とは?概要、なるための条件、動向・課題を解説」をご覧ください。
子どもに保護者がいない場合や、実親が親権を放棄する意思が明確な場合などに、特別養子縁組を前提として子どもを預かる里親です。特別養子縁組が成立した場合、里親としての一時的な養育関係ではなく、法的にも実親子関係として認められます。
養子縁組里親になるには、養子縁組里親研修の受講が求められます。
※「養子縁組里親」について詳しくは「養子縁組里親とは?概要、近年の動向・データを解説」をご覧ください。
両親や監護を行う人が死亡・行方不明・拘禁・疾病を理由とする入院などによって子どもを養育できない場合に、その子どもを養育する里親です。親族里親になれるのは、祖父母など、その子どもの3親等の親族までの人とされています。
里親になることを希望する場合、基本的には以下のステップに沿って手続きを進めていきます。
上記の2番目のステップである研修については、居住する地域によって名称は異なるものの、基礎研修・認定前研修・養育実習などを合計5日間ほど受講する必要があります。
このうち、基礎研修とは、養育里親を希望する人を対象とした研修であり、児童相談所等において説明を受けた後で里親制度の概要などの基礎的な事項を学ぶものです。研修の目的は以下のとおりで、研修期間は1日+実習1日程度とされています。
〈目的〉
また、認定前研修とは、基礎研修を受講し、里親の概要を理解したうえで受講する研修のことで、修了すると養育里親として認定されることになります。
なお、研修を受講し、里親の認定を受けたとしても、必ずしも委託されるとは限りません。平成30年度末の福祉行政報告例を見ると、66.1%の里親が未委託であり、7カ所の地域では未委託率が8割以上に及んでいる状況です。
この要因の1つとしては、「認定登録する仕組み」と「子どもを委託する仕組み」が異なるために、実際には子どもを委託できそうにない人が里親に認定されているケースが少なからず存在するのではないか、という意見が指摘されています。
参考:子どもの家庭養育推進官民協議会、日本財団「里親になるための10のステップ」
公益財団法人 全国里親会「里親だより 2020春号 第124号」令和2年5月20日
参考資料として、基礎研修(座学)のスケジュール例をまとめました。
まず、1日目のスケジュール例は、以下のとおりです。
続いて、2日目のスケジュール例は、以下のとおりです。
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