現在、2人の里子ちゃんの「おかあさん」として日々奮闘?している養育里親です。
初めて委託を受けたのは今から3年ほど前。
その後、短期委託も含めて計4人の里子ちゃんとの出会いを経験しています。
これまでの私の記事を最後に記しましたので、読んでいただけましたら幸いです。
ーーーーー
さて、待ちに待った委託の話。でも・・・マッチング中に困難はつきものです。
今回は記憶に新しいRちゃんとの「マッチングのリアル」を共有します。
生後間もなく、乳児院に預けられたRちゃん。担当先生との絆が深く、発育良好な男の子。マッチングが始まったのはRちゃんがもうすぐ3歳というタイミングでした。
乳児院の里親支援専門相談員さんから紹介されたRちゃんは、警戒心が強く、人見知りが他の子よりも激しいということでした。
なるほど、初対面では全くと言って良いほど私と主人のほうを見ようとはしません。Rちゃんは「関わりたくない・関わらないで」オーラ全開。困難なマッチングを予感させる幕開けでした。
コロナ禍ということで、マッチングの方法が従来とは変わり、里親宅中心で行われました。もともと、警戒心の強いRちゃんにとって、慣れない一般家庭でのマッチングは壮大な冒険だったと思います。
里父・里母と3人での交流が始まると、泣くことはなくても、目を合わせることはなく、ひたすら遊びたいことに没頭していたという印象です。
一番大変だったのは、お泊まりの夜です。寝てくれません。泣いて、泣いて、抱っこをしても泣いて、寝かそうとすると泣いて。いよいよ疲れて、寝そうかな、と思って、おろすとまた泣いて。
でも、そこはベテラン母なので、自分がいかに休むかを優先し、結局は抱いたまま、お腹に乗せて寝る!を選択、一晩中、15キロを乗せて寝ました。次の日、身体が痛かったのは言うまでもありませんが・・・。
マッチング中のお泊まりは毎回このような感じでした。
(ちなみに、Rちゃんの場合、正式な委託となると、直後から、抱っこしなくても添い寝程度でぐっすり寝てくれるようになりました。子どもの心理・・・不思議ですね。)
そして、お泊まりの翌日は、朝から玄関に向かうRちゃん。帰る気満々です。
乳児院に到着し、ほっとして、満面の笑みで担当先生に抱きつく姿を見ると、なぜか罪悪感に近い感情が・・・。
「乳児院でも、この子は幸せなのではないか、委託は本当に正しいのか・・・」 ※1
ある里親仲間は、同じような経験をして、本気で委託を諦めようと思ったそうです。
それくらい、迎える側(里親)の気持ちと、マッチングの理解が乏しい乳幼児(里子)の気持ちは伴わないものです。
また、里親支援専門相談員さんから聞いた子どもの性格と、マッチング中に見せる性格がかなり違うこともあります。
Rちゃんの場合、
お友達に進んでおもちゃを譲ることのできる、優しい子
→マッチング中の様子:先輩里子のおもちゃを何でも欲しがり、貸してもらえないと大泣き をする
他のこと比べると、飲み物(水分)をとる量が少ない
→マッチング中の様子:たくさん飲み物を欲しがる
大人と文章で話ができる
→マッチング中の様子:単語での会話が中心。問いかけにはほとんど「いらない」と答える ことが多かった
このような感じなので、「あれっ?」と思うことが多々ありました。
それらの疑問を里親支援専門相談員さんと共有し、「きっとRちゃんは◯◯なんだと思います」と、代弁してもらうことで、私自身、全てをプラスに受け止めるように努めました。
初めに紹介したとおり、Rちゃんはとても人見知りが激しい子。特に「大人の男の人」には関わりの経験が乏しく、里父がスキンシップをとろうとしても、身体をくねくねさせ、ひどく嫌がりました。
自称主夫の里父もRちゃんにはてんてこまいです。
これまで、3歳以上の里子委託を3回経験していますが、実は「大人の男の人に慣れていない」というフレーズは全員に共通していました。(それぞれの生活や背景で慣れるスピードも違うと思いますが。)
ちなみに、委託後3ヶ月余りが経過した、Rちゃんと里父の現在進行形は、
里父 「お父さんと一緒にお風呂入ろう!」
Rちゃん「え~、お母さんと入りたいんだけど・・・」
里父 「お父さんと一緒に寝よう」
Rちゃん 「やだ(お母さんにかけよりギャン泣き)」
里父 「俺、なんもしてないのに・・・苦笑」
こんな感じです。
ゆっくりとですが、里父とも仲は深まっていますのでご安心ください。
人見知りや大泣きするという行動は、実子の子育てでも普通にあることですが、里子の起こす行動は「普通のこと」でも、何倍も大変に思うものです。月齢を重ね、順を追ってでてくる困難を同時に受けるというのがマッチングのリアルだと私は思っています。
相談しても、「良くあることですよ」と言われ、心が重くなり、自分の関わり方に問題があるのかと悩み、相談しにくくなってしまうことも・・・。
だからこそ、諦めずに納得がいくまで里専や信頼できる人に相談したり、里親同士で交流をしたり、それが難しい場合には情報を入れたりすることが乗り越えるための力になると思い実践できるように努めています。
マッチング中は困難なことの中から、少しでも「里子が喜んでくれた!」ということがあれば、「頑張ろう!」という気持ちになれるものです。ゆっくりと、家族としての絆を深める意識を忘れてはいけないと改めて思い返したRちゃんとのマッチングでした。
新米里親さん、これから里親になる皆さんがそれぞれの家庭を築いていく中で、私の経験が「情報」としてほんの少しでもお役にたてたら嬉しいです。
読んでいただきありがとうございました。
【参考】
※1.里親家庭で育つことが子どもの愛着形成に必要だと自信を持たせていただいた記事や本
・児童精神科医が語る「親の愛情不足」への誤解 | 子育て | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
・「家庭養護のしくみと権利擁護」
出版 明石書店
ガイドブックをシェアする
“心の支え”となるコミュニティ
ONE LOVE オンライン里親会は、里親が抱える日々のつらさやしんどさ、喜びを共有できるコミュニティとしてすべての里親をサポートします。
オンライン里親会は、無料で参加いただけます
メンバー登録をするはじめて知った里親の方へ
ONE LOVE オンライン里親会とは里親や次世代の子どもを支えたい方へ
寄付で支える