①いきなりお兄ちゃん?!突然やってきた赤ちゃんとの生活開始
わが家では里子の受け入れは最大4人、特に年齢や男女の希望もなしで、委託のお話をいただけたら検討する体制をとっています。
Hちゃんの委託から3ヶ月余りが経った頃、緊急で短期委託の話をいただきました。4ヶ月の赤ちゃんということでした。イメージとしては「泣くか、寝ているか」の月齢、大きな困難は想像できませんでしたから、即決で受け入れを承諾しました。
Hちゃんには事後承諾の形で、「赤ちゃんが泊まりにくるよ~」と伝えました。短期ということもあり、説明もごく簡単な感じにとどめました。
わが家には当時、実子(18才以上3人)も一緒に住んでいて、多くの大人の中で生活していたHちゃん。自分より小さい子がやってくることにワクワクしている感じに見えました。
実際、赤ちゃんがやってきても、特に戸惑っている様子はありませんでした。乳児院から引っ越してきて間もなかったこともあり、赤ちゃんの存在は身近だったからだと思います。
赤ちゃんが起きている時間は側にいて、何かとお世話をしたがるHちゃんでした。
赤ちゃんは普段、母乳だったこともあり、なかなかミルクを飲んでくれず、2日間くらいはてんやわんやで、慌ただしく過ぎていきました。
② 「ミルク飲みたい」~突然始まった赤ちゃん返り?!
赤ちゃんも何とかミルクを飲み、寝てくれる時間が増えてきた頃・・・2~3日目かの夜、Hちゃんが「ミルク飲みたい!」と言い出しました。ちょうど、夕食前でした。
わが家に来てから、大きな問題もなく、順調に生活をしていたHちゃん。多少の好き嫌いはありましたが、何でも「食べてみたい!」と大人の食べているものにも興味を示していました。
ですから、「ミルク飲みたい!」と言い出したとき、単なる好奇心だろうと、思いました。ちょっとなめれば、満足してくれると思い、一滴指に垂らして、味見させました。
ところが、それでは満足しません。
「赤ちゃんみたいに飲みたい!」と、切実に訴えてきます。
「ミルクは赤ちゃんのご飯なんだよ、Hちゃんはご飯食べるでしょ?」
と言うと、「じゃあ、ご飯いらない!ミルクが良い!」と。
仕方なく、「じゃあ、今日のご飯はミルクだよ」と、ほ乳瓶の予備を使い、Hちゃんへミルクをあげることにしました。
思えば、この2日間余、泣いては抱っこし、あやす、「かわいいね」を赤ちゃんに向けて連発して。Hちゃんには今まで通り接していたつもりでも、お兄ちゃんが経験しなければいけない「寂しさ」を感じさせていたのかもしれません。
赤ちゃんと同じように、抱っこして、、、一気に飲み干した後は「おいしかった」と、満足したHちゃんでした。
③「赤ちゃん返り」して、「振り返り」ができたHちゃん~『委託時0才の考え方』に繋がるエピソード
翌朝、、一番に「お母さん、ごはんがいい、、、」と、ちょっと恥ずかしそうに伝えてきたHちゃん。ミルクで心は満たされましたが、お腹がいっぱいにはならない?ようでした。
ほんの一時の『赤ちゃん返り』でしたが、赤ちゃんの委託が終った後も、「ミルク」や「おっぱい」については興味深く繰り返し聞いてきました。
その中で、必至に自分の生い立ちを確認しているような感じを受けました。
「◯◯もミルク飲んでた?」
「お母さんのおっぱい飲んでた?」
と聞いてきました。3才という年齢で、こんなに色々考えるんだ、というくらい、ドキッとする質問をしてくることもありました。
10日間程度の期間、「お兄ちゃん」体験をしたHちゃん。自分を振り返る良いきっかけにもなりました。
この時期は、以前の記事で紹介した「委託時0才の考え方」を私が受け入れた時期と実は重なり、繋がりのあるエピソードなのです。
「赤ちゃん返り」もでき、親子関係を深めるきっかけにもなった貴重な経験となりました。
「里子同士の関係性」ですが、今回は赤ちゃんからHちゃんが影響を受けたことが多かったです。この経験はHちゃんの成長に繋がる良いステップになりました。
短い間でしたが、一緒に生活してくれた赤ちゃんのことを、今でも時々思い出しながら、Hちゃんと懐かしく当時を振り返っています。(ミルクの話ももちろんしたりして、、苦笑いのHちゃんw)
新米里親さん、これから里親になる皆さんがそれぞれの家庭を築いていく中で、私の経験が「情報」としてほんの少しでもお役にたてたら嬉しいです。
読んでいただきありがとうございました。
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