発達障害のある里子と暮らした経験から学んだこと ~3人の実子も育てたことのある私の新米里親体験記 発達障害のある里子と暮らした経験から学んだこと ~3人の実子も育てたことのある私の新米里親体験記

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発達障害のある里子と暮らした経験から学んだこと ~3人の実子も育てたことのある私の新米里親体験記

最終更新日2023.04.14 公開日2023.04.14

はじめに

現在、2人の里子ちゃんの「おかあさん」として日々奮闘?している養育里親です。

これまでの私の記事を下記に紹介させていただきますので、読んでいただけましたら幸いです。

さて、『里親が養育する子どもの4人に1人が「障害あり」』※1.という記事が目にとまりました。記事によると、『発達障害などなんらかの障害がある』(抜粋)とのことです。

わが家でも、過去に発達障害のある里子と暮らした経験があります。とても他人事には思えませんでした。

今回は専門里親ではない、養育里親が発達障害のある子と暮らした経験から、気がついたことを共有します。

体験談

~熱意と愛情だけで乗り越えられない壁もある~
養育里親が発達障害のある里子と暮らして感じた必要な支援を素直に受ける大切さ

① 発達障害のある子の委託を受けた経緯、そして委託解除を迎えるまで

初めに委託された里子との生活も2年が過ぎた頃、新たな委託の話をいただきました。軽度の発達障害(自閉症・愛着障害)のある10才の男の子(以下Z君)でした。私は放課後等デイサービスで働いていた経験があり、障害には理解があると自負していました。
軽度ならば大きな問題はないだろうと委託に承諾をしました。家族はあまり発達障害の知識がありませんでしたので、私が大丈夫というなら大丈夫なのだろう、何よりも1年くらいの短期委託ということでしたので、そのくらいならば問題ないだろうという受け止め方でした。

複雑な背景もあり、1度の面会と1度の自宅訪問という短いマッチングでお互いの意思確認をして、すぐに委託となりました。

ところが、出会ってすぐから違和感を覚えました。それは「軽度」とされている判断基準に対してです。

それでも、一度承諾したからにはこの子と楽しく生活しよう、この子が委託された背景を思うと、その時は助けてあげたいという思いのほうが不安を上回っていました。

結局、Z君との生活は約10ヶ月で委託解除となりましたが、この10ヶ月の生活では、この先、養育里親をしていく上で、大切なことをたくさん学びました。

(今回は、発達障害児との大変なエピソードは省略し、自分たちがこうするべきだったということをお話させていただきます。)

② 里子の「これまでの日常」がわからない ~相談しても行き詰まってしまう現実〜

発達障害をもった里子と暮らす中で一番辛かったことは、Z君の「これまでの日常」を知っている関係者がいなかったことです。

乳児院からの委託では、里親専門相談員や担当先生が里子の「日常」を知っているので、委託後も不安な点を相談すると、それはその子の性格からきているものとか、委託による環境変化からきているのかもといったように、里子の「これまで」から推察し、不安に対して一緒に解決のヒントを見つけることができます。

ところが、Z君の場合はそれができませんでした。Z君のこれまでの「日常」を知る関係者と繋がれなかったのです。相談をしても、解決には繋がらない、毎日が試行錯誤という現実がありました。

先ほどの記事に『2021年度から障害児施設などから専門家を派遣し、支援するモデル事業を始める』とありました。里子が平穏に暮らすためには里親の支援も必要という動きが活発になってきていて喜ばしいと思いました。

相談にのっていただけるだけでも気持ちは軽くなります。話しただけで、すっきりすることもあります。
でも、本当に困っていて相談する場合、相談にのる相手が里子を良く知る人物であったら、それは最強です。

そのために、私がもっと早くからやるべきだったことは「レスパイトの利用」でした。

※「レスパイトケア」について詳しくは「里親制度におけるレスパイトケアとは?目的、課題を解説」をご覧ください。

③ 抵抗のあったレスパイト利用をしてわかった「レスパイトの価値」


正直、里親として、レスパイトを利用することに、ためらいがありました。引き受けたからにはずっと側にいてあげたいという気持ち、親ならば子と一緒にいるべきというおごりがあったのです。今、思えば、「休息」ということの意味を表面でしか捉えておらず浅はかだったと思います。

しかし、身内の不幸があり、Z君が多くの人が集まる葬儀に参列するのは難しいという状況に追い込まれました。このとき、初めてSOSを出しましたが、児相をはじめ、里親支援専門相談員が地域の児童養護施設に「レスパイト利用」できるよう繋いでくれたのです。

ここで、私はレスパイト利用の目的に「里子の日常生活を知る人を里親以外に作っておく」ことが本当に必要だと強く感じました。

里子の日常を知る大人がいなかったことはサポートする上で非常に孤独感を伴い、追い込まれていく感じがしました。

特にZ君の場合、預けるにしても専門家でないと対応は難しいです。施設の職員に日頃から一定の間隔でお世話になることで、里子の特性も共有でき、本当の意味で里親家庭の支援に繋がると感じました。

そして、里子が小学生以上になってからの委託の場合、それまで形成された生活もあるので、お互いの歩み寄りの中で、里子も誰かに相談できる、または誰かから助言をしてもらえる環境が大切だと思います。

レスパイトを利用することは、里子側の理解者を作る目的も大きいと感じました。

「子どもの声を聴く」子どもアドボカシー活動※2.という言葉も聞かれるようになっていますが、このような活動も利用していたら、Z君との生活が違っていたのではないかと感じてなりません。

障害のあるないに関わらず、里親子の関係性を築いていくのは時間がかかること、焦りは禁物ということは私自身も過去の記事で書いてある通り理解しています。

しかし、Z君の委託経験から、里親側の熱意や愛情だけでは乗り越えられない壁もある、努力で何とかしようとすることは里子のためにならないということが、今ならはっきりと理解できます。

里親子の時間を積み重ねる過程で「困難」や「大変」ばかりを里親が抱えるということは、同様に里子も「居づらさ」や「辛さ」を抱えているはずです。

ですから、里親子、両方が抱えるものは適切な支援で軽減し、お互いがより「家族」として深めあえる環境作りができたら・・・とZ君との生活を今でも振り返りながら想いをはせるています。

まとめ

今回は、抽象的なお伝えが多くなってしまいましたので、次回、もう少し具体的に「レスパイト利用」をしてよかった点を掘り下げてお伝えしようと思います。

新米里親さん、これから里親になる皆さんがそれぞれの家庭を築いていく中で、私の経験が「情報」としてほんの少しでもお役にたてたら嬉しいです。


読んでいただきありがとうございました。

参考 

※1.里親が養育する子ども、4人に1人が「障害あり」
※2.里親だより2022冬号 第131号 巻頭エッセイより

これまでの私の記事 ~3人の実子も育てたことのある私の新米里親体験記

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