わが家は養育里親として、6歳と4歳の男の子を長期委託中です。そして、最近では2回、短期委託の子供たちとの生活を経験しました。
短期委託は令和3年4月に施行された改正児童福祉法により、子育て短期支援事業において市町村が里親に直接委託し実施できるようになりました。(※1)
里親ニーズが確実に高まっています。(※2)
今回はこの短期委託の中で、里親家庭だからこそと思えた価値観を、わが家の体験から共有します。
子育て短期支援事業(※1)が施行され、各市町村でも取り組みが始まりました。(※3)
わが家も「受け入れ可能」と名乗りをあげました。これまでに数回、「もし、週末に委託の話があったら、受け入れできますか?」という感じで、児童相談所から連絡をいただいたことはありましたが、実際に委託となったのは、R4年の年末が初めてでした。
一人親世帯で、お母さんが入院治療をする期間、中学生と小学生の兄弟(以下中学生A君、小学生B君)の委託依頼でした。
最初、児童相談所とのやり取りの中で衝撃を受けたことがあります。それは、学校についてです。学区外の地域から受け入れでしたので、当然、送迎をして学校へ行かせるものだと思っていました。そのことについて、質問すると、
児童相談所:「学校へ送迎していただけるんですか、毎日?!」
私:「えっ、学校に行かせないんですか?」
というやりとりがあったのです。話によると、一時預かりでは必ずしも学校へ行かせる必要はない場合があるようです。今回は、学校へ行かせても特段問題はないケースです。OKであるならば、ぜひ、学校へ行かせてあげたいことを伝えました。
私たちの申し出に、お母さんも学校側もとても喜んでくれました。そして、一番、安心してくれたのは中学生のA君でした。彼は、学校行事がその時期に重なっていたのです。役割のこともあり、どうしても出席したかったとのことでした。
お母さんが入院治療という、一大事、日常が大きく変わらざるを得ない状況の中で、学校生活だけでも正常に守ることができることはとても重要ではないかと思いました。
里親だからこそ、柔軟な対応で送迎もできる、求められている価値はとても大きなものだと感じました。
持ち物について、ゲーム機器やスマホの持ち込みはどうかの話になりました。普段、家でできることができなくなることは、どんなにストレスに繋がるか、大人でも子どもでも一緒だと思います。しかし、施設入所となるとゲーム機器やスマホは制限されるようです。
わが家では、保護者さんがOKして与えてやらせているものであるならば、家 でも同じようにやって良いと伝えました。
A君は委託中もお母さんとラインでやりとりをしていたようです。お母さんも治療に専念しながらも子どもと繋がることができて安心できたと言っておりました。
B君はやんちゃなところがあり、ゲームのやり方では工夫が必要でした。エスカレートしないようにわが家での約束事のもとで楽しんでもらいました。
順調に治療が進み、予定よりも少し早く委託解除となりました。
A君もB君も初めての家での生活に気を張っていたと思います。寂しいと口にすることもなく、学校へ通い、よく食べ、よく遊び、よく眠り、と気丈に生活してくれていました。
お母さんが迎えに来てくれた時、緊張の糸が切れたのでしょう。大泣きして、お母さんに抱きつくB君、にこにこ笑顔で、いつもより口数が多くなったA君。
この瞬間に立ち会えて、とても感動しました。
「また遊びにきたいな!いい?」と言ってくれたB君。ほんの短い期間でしたが、幸せに繋がる貴重な支援ができたのではないかなと、私たちも充実感でいっぱいでした。
今回の短期委託で感じたのは、地域での横の繋がりの重要性でした。一人親世帯や、親族がいない、頼れる親がいないといった家族がこの短期支援事業があることで、安心できるのではないか、と思いました。地域にこの支援に関われる里親家庭が増えて、みんなで子育てが当たり前の世の中になってくれたら素敵だな、と思えた貴重な体験でした。
私の知人は長期委託の里子を預かるのはハードルが高いけど、短期ならばぜひやってみたいと興味を持ってくれた方がいます。
これから、このような支援の関わり方があることが周知され、たくさんの里親仲間ができてくれたらうれしいです。
新米里親さん、これから里親になる皆さんがそれぞれの家庭を築いていく中で、私の経験が「情報」としてほんの少しでもお役にたてたら嬉しいです。
読んでいただきありがとうございました。
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